今回の対談はわかりやすい音楽理論サイト「soniqa.net」を運営する吉松悠太さん。とっつきやすくわかりやすい風にしたい。それはアカデミックなところとわかりやすいもの、その両極端なものしかない時代だからこそ間の楽しみ方をする人たちのためのサイトを作る。
(記事構成/原田和真[脚本家])
「音楽理論を知ってるだけじゃダメ…?」
金子 「このコードはどこに行くんですか」ってノート上で話をしてて、「システム上こう行くんですよ」みたいな話になってて、そういう理屈付けを聞いて満足して「今日も1日幸せだったな~」みたいな。なんか音楽作ってないなぁみたいな(笑)
吉松 本当にそうなんですよ。「この曲の流れで来てて、これは普通のコードじゃないですけど、このコードはどういう由来で来てるんですか」とかって聞かれるんですよ
金子 うん
吉松 由来とかいいじゃん
金子 (爆笑)
吉松 入ったからそうなったんだよっていう(笑)
金子 由来とかいいよね(笑)
吉松 強いて言えばで答えるけどなんだっていいじゃんっていう…(笑)
金子 なんだっていいよね!多分それを理屈付けとかされると安心するんだろうね
吉松 思いますねそれは、あると思います
金子 それってなんだろう?って凄く考えるんですよ。なんでそこにいちいち疑問を持つんだろうみたいな
吉松 はい
金子 俺なりの考えは、目的がないからだと思うんですよね
吉松 目的ですか?
金子 例えば曲を作りたい、曲を作って歌手活動したい、それでライブに出たいって目的がある人はオリジナル曲を作らなきゃいけないっていう締め切りがあるわけね
吉松 はい
金子 それで調べて、バァ~っと曲を作って、出来た~っつってライブするわけじゃない、そういう人の場合は
吉松 はい
金子 それが目的だから。そこからブラッシュアップしていけばいいじゃない
吉松 う~ん
金子 だけど、そうじゃない人達はなんか本とかそういうところで疑問を持って、その疑問をただ解決したいんだよね
吉松 ああ~
金子 音楽を作る為の音楽理論なんだけど、ここの疑問を解決したいだけなのよ
吉松 はい
金子 で、この人達が今大量生産されていて、”この疑問”だけが大量生産されている。よく考えるとこの疑問、そんな重要じゃないんだよね実は(笑)
吉松 そうなんですよね!
金子 問題点の根本はもっと別のところにあるんだけど、”この疑問”を解き明かしたいだけで今の音楽理論はどんどん発展してるみたいな
吉松 ありますね~。そういう人って音楽理論ってのが本当に好きな人なんでしょうね
金子 あ~そうだと思う
吉松 これがどうなってんだろうってのを理論に解き明かすのが楽しいんだと思います。多分僕は正直そんなに理論が好きじゃないような気がします
金子 そういった意味ではね。自分で何かを作っていって、自分で展開していくっていうようなやり方をするような人間じゃないとそもそもダメじゃね?みたいな
吉松 はい
金子 あれもしかしたら、音楽理論が問題なんじゃなくて人間が問題なんじゃないみたいな…(笑)
吉松 「銃が悪いのではなく」みたいな(笑)
金子 そうそうそう(笑)
吉松 ハハハ(笑)
金子 自分っていう人間が生成されて、そこから新しい何かを世の中に対して
吉松 うん
金子 やっぱそういう感じになってった方がいいんじゃないとかって俺は思うんですよね~
吉松 はい
金子 俺が今自分でやってることは和旋法とかを作って、それをジャズのアドリブとか方法論に落とし込むってことをやってるんですよ
吉松 ふ~ん
金子 それで和旋法とかも無いやつを自分でやっちゃってるんですよ。これ今自分がやってる中で一番楽しいこと…
対談中に流れた曲「百人一首曲付けプロジェクト/70番 寂しさに」
(曲が流れ始める)
吉松 旋法変えながら…ですよね?
金子 結構変えながらやってますねこれは。旋法変えるスパンも結構短かったりするんですよね
吉松 う~ん
金子 で、使ってる旋法も自分で作っちゃってますね、それっぽいやつを
(曲が終わる)
金子 和風なイメージちょっとあると思うんですけど、実際に和風な音楽を聴くと、多分こんな感じにはなってないんですよ
吉松 あ~実際には
金子 実際には。琴とか尺八とかの曲ってこんな感じじゃないんですよ。
吉松 う~ん
金子 で、和風っぽさ出すのに、新しい感じで、しかも即興でできるようなある程度のものって考えた時に和旋法とかを一回取り出したんだけど、それだけじゃもの足りないな~と思って
吉松 はい
金子 っぽく聴こえる和旋法作ってやると「あ、こんな感じか~」みたいのが段々分かってきてやってるって感じなんですよね。でもこんな音使い絶対しないんですよ、和なやつって
吉松 ふ~ん
金子 ここまで大胆にやらなくて。まぁ大胆なところは大胆なところであるんですけど、洋風では使わない和音とか
吉松 うんうん
金子 完全にしっかり「これはこうで」っていう理論はまだできてないですけど。まだ感覚でしか分かんないですねこれはちょっと
吉松 う~ん
金子 和の世界ではあんまりやってない音階のリプレスメントもちょっとやってたりしてて。例えばドレミソラってやったらペンタトニックだけど、レミソラドってやったら和の陽旋法になるんですよ。この陽旋法はポップスの方ではあんまり使われないんですよね
吉松 へぇ~
金子 しかももっと言うならば、1オクターブ以内に音階を収めないんですよね和旋法って
吉松 ほうほうほう
金子 レミソラド、レ、ミ、まで行ったりするんですよね!なんだ!?みたいな(笑)
吉松 へぇ~(笑)
金子 そんなんとかを自分でやってたら「国家もこの音階で使ってんじゃん」みたいな。国家はドリアンじゃねぇなみたいな(笑)
吉松 ハハハ(笑)
金子 っていうのが見つかる。まぁ多分あれ旋法分けてると思うんですけど二つとかに。で、今そういうこととかを自分で面白いな~と思いながらやってて
吉松 う~ん
金子 俺が今やってる中で一番地味なんですけど一番俺の中でヒットしてて、でも俺のテンション誰にも伝わらないんですよ(笑)
吉松 ハハハハ(笑)
金子 「新しくね?新しくね?」とか思いながら。誰にも伝わらない、多分新しくないんだと思う(笑)くじけません(笑)
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金子将昭 Masaaki Kaneko http://www.masaaki-kaneko.com/
1982年富山県生。洗足学園音楽大学音楽学部ジャズ科ピアノ専攻卒。
大学にギター科で入学後すぐ、経験無しのピアノ始め、二年次よりジャズピアノ科へ転専攻。サポート仕事と和風なジャズを演奏する自己の音楽活動と並行しながら、日本初の音楽理論Webマガジン「サークル」編集長、(同) 前衛無言禅師 代表、東京音楽理論研究大学主催、劇団を作ろうプロジェクト主催、音楽アプリ「lepot」の開発、劇団ブラックラックへ楽曲提供、フリーランス向けの確定申告サイト運営など多岐に渡る。現在、百人一首曲付けプロジェクトとジャズスタンダードをトーク・演奏で楽しむ動画をYOUTUBEチャンネルにて公開。「百人一首曲付けプロジェクト」で検索。
吉松悠太 Yuta Yoshimatsu
音楽理論家。1990年北海道生まれ。16歳から作曲と音楽理論の勉強を始め、2010年に音楽理論の総合サイト「SONIQA」を開設。慶応義塾大学にて岩竹徹教授のもとで和声を学び、独自に構築した音楽理論である「マクロ音楽理論」を提唱する。現在は「PLUGMON.org」で英語圏へもDTMの情報と製品を提供している。
SONIQA : http://soniqa.net
PLUGMON.org : http://plugmon.org
現在の所属:劇団ブラックラック、劇団あーてぃすとら、ラフィクション(お笑いユニット)
HP:http://www.tomorock-photo.net/
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