【対談 その2】「バンドだからって音楽だけを売らなくても良い」YD(GUTS AND DEATH) × 金子将昭

プレミアムチケット、ユーチューバー、アプリを使ったファンとのコミニュケーションなど様々なアイディアでバンドを運営するGUTS AND DEATHのドラマーのYDさん。バンドとして音楽を売るのではなくオフショットの様子をアップするように好きな事をやっていく。様々な一面を持つYDさんにどのようにそれらを生み出したのか聴いてみました。(記事構成/原田和真)

 

【前回はこちら】対談 その1「メジャーになっても何も変わらなかった!?」

 

「YouTubeがすごい!ごっつぁんです!」

金子 では事務所でやっていた活動はそのままで、独立してこの活動をしたいなという感じだったんですかね?

YD ん~まぁでも、そもそもヴィジュアル系のシーンに対してあんまり・・。

金子 シーンに対しての疑問点ってのはどんなものだったんですか?

YD 割りともう飽和してるなっていうところで。

金子 もっと新しいものを出さないといけないんじゃないかっていうような。

YD はい。

金子 やっぱり「アーティストとして音楽性」っていうところですか?

YD そこを工夫してやったところで所詮そのシーンなんで、意味が無いなって。

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金子 バンドとして自由に発想して色んな活動をすれば表現も広がってファンの人も喜んでくれるかもしれないと。そういう意味でこのジャンルは違うんじゃないかという感じですかね。

YD ……あの、そんなカッコいい感じじゃないです。

金子 アハハハ(笑)

YD 普通に勝てないなっていうか、やりづらいなっていう感じですね。若くもないし。8年ぐらいそのバンドやってたんですけど、出始めの頃は20代前半とかフレッシュな感じでやりますけど、30ぐらいのおっさんってどうだろう?って。

金子 おっさん……(笑)

YD 「わーわー」「キャーキャー」やってるのキツイなっていう。そのうち人気もどんどん収束していくだろうなって。

金子 それで、言ってしまえば事業転換をしたってことなんですけど、その時にいくつかアイディアをはあったと思うんですけど、その時ってどんなことを考えていたんですか?

YD そうですね。うちのバンドの活動の軸にYouTubeってのがあって。今はユーチューバーが流行ってますけど、話題になりだした頃から気にはなっていて。

純粋にそこはお金っていうのが結びつくじゃないですか。今ユーテューバーとしてやってることってのは、バンドやってる時も似たような事やってるんですよ。

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金子 メジャーバンド時代もYouTubeを使っていたってことですか。

YD いえ、アーティストって言ったところで別に『ラーメン食った』っていうTweetとかするじゃないですか。

金子 ああ~本質的には同じですね。

YD はい。で、まぁオフショット撮ったとか、そういう事やるじゃないですか。その時にやってる事をそのままYouTubeに移行すれば、お金ももらえて、さらにファン層が広がるんだったら……良いかな?っていう感じですね。

金子 ということは活動をYouTubeとかに拡大させていくってのが軸としてあったんですね。

YD そうですね。それと音楽の面でいくと、僕らはビジュアル系でやってたんですけど、別にビジュアル系っぽい音楽を目指してなかったんですよ。

金子 あ~バンドとしてそもそもですか?

YD そうなんです、ずっと。より聴きやすくとか、ポップとか。聴きやすさっていうものを求めてたりもしてたんで。それをビジュアル系でやってるのもちょっと……なんて言うかなぁ・・。

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金子 ファンに馴染まない……というかことですか?

YD 元々いるファンには大丈夫なんですけど……。

金子 その業界には……馴染まない?

YD 馴染まないというか……ビジュアル系が好きじゃない人からはビジュアル系と思われるだけじゃないですか。どんなに何をしようが。

金子 あ~なるほどなるほど!どっち側に行ってもちょっと変な風に見られちゃう。

YD そうです。そうなった場合に、別にもう”音楽性で”とか”ビジュアルイメージで”とか、こっちがこういう風に見えたいと思ってやったところでそう見えるかどうか分からないじゃないですか。

金子 ユーザーの受け取り方がこっちの思い通りになるとは限らない。

YD そうですね。そこに試行錯誤するのって結構くだらないな~って。

金子 アハハハ(笑)なるほど。

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YD はい。っていうので別にいいじゃんっていうか、割りとオープンでなんでもやって、ファンができて……でも音楽のファンになる必要はなくて。この人たちは「音楽も、やってる」っていう風に見てもらえばよくて、音楽を押し付けて人に聴かすっていう事が結構なんか、バンド側の自己満足だなっていう。

金子 はいはいはい。なるほど。

YD っていうところですね。

金子 もっと自分ができる事とか、やりたい事とか、そういった事を”バンド”って言葉にとらわれずにYouTubeでごく自然体でやってたら一般の人達が受け入れてくれる可能性もあると。そっちやった方がお金にも結びつくしいいんじゃないかって事ですね。

YD まぁやらしい話をすると、純粋にYouTubeがまだ未開拓だったので、ここならイケるなっていう。まぁその……ユーチューバーってのは素人っぽさが良さかもしれませんけど、そこにちょっと紛れ込んだらイケんじゃないのかなって、安易な、はい(笑)

金子 アハハハ(笑)今の海外のユーチューバーで音楽分野ですっごい成功してる人達って音楽だけっていうのもないですよね。やってないっていうかメインじゃないですよね。

YD あ~はいはいはい。

金子 リリックムービーとかは作りますけど基本的に紹介とかちょっとトークして面白くって感じですもんね。だから全然ありだな~という感じで僕も思ってます。

 

究極のユーチューバー”カブキン”しんどくなった中で誕生!!

金子 ただ僕がGUTS AND DEATHのYouTube見て思ったのは、”カブキン”というキャラクターがいるじゃないですか?

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YD はい。

金子 あれ見てすげぇ『手が込んでるな~』って思ったんですけど。

YD あれは人工的に、全パワーを使って……究極のユーチューバーを生み出したっていう。はい。

金子 そうなんですね。

YD 歌舞伎メイクなら世界的にも注目されるかなっていう……。

金子 あ、なるほど!(笑)世界中で見れるから日本っぽいのがいいだろうっていう。

YD そうです。それは途中から手応えを感じ始めてやってるだけで、元々活動する時に「やろう」とは全く思ってなかったです。

金子 じゃあ最初っからカブキンだったわけじゃない?

YD じゃないですね。毎日動画を投稿するっていうルールを最初に決めて、その中で毎日動画を上げるのがしんどくなってきた中で誕生しました(笑)

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金子 ハハハ(笑)バンドメンバーってみなさんそれぞれチャンネル持たれてる感じですか?

YD いや、チャンネルを一つでバンドメンバー三人でやってます。

金子 で、個々にそれを更新すると。

YD まぁ8割、9割くらい僕がやってるんですけど。

金子 それってなんか役割とかあるんですか?編集は誰々がやるとか。

YD いや、本当は三等分したいんですけど、みんな何を動画にしたらいいかわからなかったり、個々に忙しかったり。だから別にバンドっぽくはないんですよね、うち。月一回しか会わなかったりとかも全然あるんで。

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金子 へぇ~。じゃあ動画に関してはほぼ一人で完結させてる感じなんですね。他のメンバーは気が向いたら投稿するって感じですか?

YD まぁ……『やれ!』って感じですけど。

金子 アハハハ(笑)

YD はい(笑)

金子 気持ちとしては全員で?(笑)

YD はい。

金子 でも他のSNS的なところは別のメンバーが大きくやってるとか・・?

YD それも自分でやってます。

金子 アハハ……それも自分で……(笑)じゃあバンド活動の全体に色んな事を取り仕切っちゃってるって感じですね。

YD そうですね。

【その3】「ライブに5万円のプレミアチケット導入。ライブ体験をより特別なものに。」

 


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YD GUTS AND DEATH ドラマー

慶應義塾大学文学部卒。2010年に ロックバンド THE KIDDIEでメジャーデビュー。2015年3月31日にZepp Tokyo で解散した後、同バンドのメンバー3人でバンド形態のYouTuber音楽ユニットGUTS AND DEATHを同年5月に結成。自身のアーティスト活動と平行しながら、様々なアーティストへの楽曲提供、サポートドラマーとしても活躍。

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金子将昭 Masaaki Kaneko http://www.masaaki-kaneko.com/

1982年富山県生。洗足学園音楽大学音楽学部ジャズ科ピアノ専攻卒。

大学にギター科で入学後すぐ、経験無しのピアノ始め、二年次よりジャズピアノ科へ転専攻。サポート仕事と和風なジャズを演奏する自己の音楽活動と並行しながら、日本初の音楽理論Webマガジン「サークル」編集長、(同) 前衛無言禅師 代表、東京音楽理論研究大学主催、劇団を作ろうプロジェクト主催、音楽アプリ「lepot」の開発、劇団ブラックラックへ楽曲提供、フリーランス向けの確定申告サイト運営など多岐に渡る。現在、百人一首曲付けプロジェクトとジャズスタンダードをトーク・演奏で楽しむ動画をYOUTUBEチャンネルにて公開。百人一首曲付けプロジェクトで検索。

haradakazuma
対談構成:原田和真(はらだかずま)
脚本家。1988年生まれ。北海道出身。大学から山形へ移住、お笑いや演劇の活動を始める。漫才、コント、演劇、アクション、音楽とのコラボ、ラジオドラマなど様々に挑戦し、手段を問わず”エンターテイメント”を追求する。2014年4月に活動を東京へ移す。
現在の欲望:映画の脚本をやりたい。マジシャンの仲間が欲しい事。
現在の所属:劇団ブラックラック、劇団あーてぃすとら、ラフィクション(お笑いユニット)
 
tantan
カメラマン:たんたん
映像カメラマン・写真・イベント・トリッププランナ

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