【注目の音楽ブログ記事】 21世紀の音楽屋の社会観  ―川本悠自―

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衆議院解散しましたね。(※編集注:この記事は2012-11-20の内容です)
あんまり政治的なトピックをここで扱うことは多くなかったのですが、ぼちぼちイイ歳にもなって来た事だし、思う事もあるので、今日はそんな話をしようかと思います。

 

今回の選挙は14党?乱立の様相だそうで。名前を覚えるのも大変であればそれぞれの違いを認識するのも大変です。なんでこんなにバラバラになるのかと言えば、政策の異同によって政党が成り立ってるからなんでしょうねえ。でも思うんですが、たとえば経済政策はA党がよいと思うけれども外交政策はB党がよいと思う場合ってどうすりゃイイんでしょう。個人投票でA党にいれて、比例でB党に?いやいや。そんな事なかれ主義みたいな・・・。

 

僕、思うのですが、政策ってある目的を達成するための手段でしょう。じゃ、その目的っていうのは、これから日本をどうしようかっていう具体的なビジョンですよね。コンセプト。どうも、今、欠如しているのはそこの議論のような気がしていて、だからなんか政策の話をされても、目的なく手段のみ話している感じで、どうも空虚な感じがしてしまうんです。一体これから日本はどういう国になるのがいいのか、ってのをもっと考えたいと思うのです。

 

先日、某所の仕事で共演ミュージシャンと色々話したと書きましたけど、その時に実はそんな話も出てたんですね。音楽屋の社会観は、おおよそ一致を見ました。

 

日本は、すでに成熟した社会・経済の国です。豊かさはある程度の水準を超え大多数の人が多少の金銭的な不自由はあったとしても飢えずに生活できる。物質的な豊かさはほぼ満たされていると言っていい状態です。つまり市場が成熟しきってる。
そういう状態で消費を喚起し経済を活性化させようとしても、国民のほぼ全員が最低限の物質的欲求を満たされている状況では上手く行くはずがない。できるとしたら重箱のすみをつつくようなニッチな需要を掘り起こすだけ。それもいつまで持つのやら。もう以前のような意味での景気の良い状態は来ないと僕は考えています。

 

それはどういうことかというと、物質的な欲求が満たされた次に人が求めるのは精神的充足感。つまり物を買う事で得られる物質的な満足ということから、何か精神的に満足できるものに価値を見いだし、代価を払っていくようになるのではないかと思っています。今までの物質的欲求を満たす市場は縮小せざるを得ない。物質的な需要は最低限なものに留まっていく。経済規模は縮小して行くことになります。日本の経済力は小さくなる。

 

でもね、それでいいんだと思います。僕は、人の幸せって決して経済的な豊かさの事だけではないと考えるのです。
去年来日していたブータン国王の演説やウルグアイのムヒカ大統領の国連演説なんかが思い出されるところですけれど。日本も、こういう方向に向かっていけば良いのにと思う。

 

一度物質的に豊かな暮らしを知ってしまったら、それを縮小せよと言ったところでなかなか難しい事ではあるとは思うし、そんなものとんでもないという人の方が多いと思う。やっぱりみんな貧乏になるのは嫌だし怖い。豊かさとは経済力だとの一念でこの国をここまで成長させてくれた世代の方々にとってはそれは自分達の生き方価値観の否定に他ならないでしょう。

 

でもこういうのは、歴史的に見ても、成熟した社会の向かうべき方向ではないかと思ったりもします。過去の日本でも文化・経済的に幾度となくピークを迎えては、経済規模的にダウンサイジングしながら精神的文化へ移行して行ってますよね。今の時期も、そういう時期ではなかろうかと思うのです。峠は越えた、ということです。

 

ゆえに、これからは僕ら音楽家や、芸術家が活動しがいのある時代になっていくのだろうと考えていますが。
なかなか、こういう事を叫べる政治家もいないだろうなあ。
少なくとも僕らの世代が国を動かす中心の世代になるまでは・・・。

 

そんなことを思いながら、ちょっと選挙に行ってみようかと思ってます。

 

 

 

この記事は川本悠自さんのブログ「 低音大提琴徒然雑記」の2012年11月20日の記事「21世紀の音楽屋の社会観」より転載させて頂きました。

 

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川本悠自  ジャズベー53404681_148シスト 

ブログ「 低音大提琴徒然雑記」

1978年千葉生。高校でエレキベース、立命館大学ジャズ研でウッドベースを始める。京都大学Dark Blue New Sounds Orchestraに所属し山野楽器ビックバンドジャズコンテストで優秀賞受賞。01年頃より都内のジャズクラブ等で活動開始。2007年アカペラカルテット「XUXU」と共作アルバム「アカペラ協奏曲第1番作品23」を発表。これまでにサックス奏者山口真文氏、ドラム奏者ジョージ大塚氏、ピアニスト辛島文雄氏などのバンドに参加。その他俳優の渡辺えり氏、三宅裕司氏のライブサポートやコンテンポラリー ダンサー山田うん氏とのコラボレーションなど活動は多岐にわたる。現在は自らのグループで自己の音楽を追求するかたわら銀座七丁目にあるアートスペース 「スペースにはたづみ」の運営に携わり新しい芸術の発信方法を模索している。 

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