皆さんこんにちは。
前回は基準音であるトニックについて説明しましたね。
今回は移動ドについてお話していきたいと思います。
音の名前
トニックをもとに各音を認識していくわけですが、毎回「トニックから半音下の音」とか「トニックから半音9個分上」とか言ってたのでは大変なので、音に名前をつけて効率化を図りたいとと思います。 「中が空洞の木のボディーに6本の金属でできた弦を張っているやつ」より「ギター」って言ったほうが分かりやすいみたいなやつですね。
そこで皆さんがよく知っている「ドレミファソラシド」を使いましょう。皆さん察しが付いているとは思いますが、ドがトニックです。
ドレミファソラシド、ただし…
トニックを基準としているので、トニックが変わればドの音も当然変わってきますよね。前回トニックの見つけ方を練習してみましたが、最後のやつなんかはトニックはCではなかったというアレです。例えば、キーがGになればGがドになります。
例えばこんな感じです。
移動ドと固定ド
このように、キーのトニックをドとして捉える考え方を移動ドと呼びます。キーがGならGがド、Cはファ。キーがEbならGはミ、Cはラといった具合です。
それとは逆に、常にCをドとして、GのキーでもEbのキーでもCがドという考え方を固定ドと呼びます。
この講座では移動ドを使っていきます。キーがある場合は移動ドの方がより自然な捉え方です。
なぜ移動ドなのか?
わかりやすくするために劇に例えてみましょう。
固定ドはこんな感じです。
ナレーション:「鈴木くんは佐藤くんの家に行きましたが、そこで佐藤くんのふりをした高橋くんに食べられました。でも田中くんが助けてくれました。」
移動ドはこんな感じです。
ナレーション:「赤ずきんちゃんはおばあさんの家に行きましたが、そこでおばあさんのふりをしたオオカミさんに食べられました。でも猟師さんが助けてくれました。」
実際劇をするときには中の人が誰かというのももちろん大事ですが、それだけだと複数の劇を行うのは大変ですよね? 赤ずきんちゃんだけだったらそれでもいいかもしれませんが、桃太郎やかぐや姫の時にも全部鈴木くん佐藤くんだとわけが分からなくなりますよね?
話しを音楽に戻します。
キーのある音楽では、音がどのような響きがするのか(つまり劇でいう配役)というのはトニックによって決まります。トニック(ド)からの距離=音の響き(音の色合い)になっているのです。
相対音感は「基準音を元に相対的に音を識別する」と定義しましたが、結局の所トニックから生まれる音の響きを聞き取って音を判別していることになります。もちろんトニックはキーによって変わりますので、トニック=ドの位置を変化させられる移動ドを使うというわけです。
色合い?
「いきなり色合いとか言われても…」と疑問が出ていると思いますので、実際に色合いの違いを感じてみましょう。
同じ音でも響きが違う
例えば、Cという1音を考えても、それがFのキーなのかEなのか、Dbなのかで変わってきます。
こちらを見てみましょう。
同じ音型のメロディーを使って、最後の所をトニック-C(ハイライトされています)-トニックとしています。
どうでしょうか、全てのCが同じように聞こえるということはないはずです。(聞こえる方はおそらく固定ドのプログラムを受けたことがある方です。が、絶対音感がないのであれば移動ド切り替えましょう。)
さっきの劇の例えで言えば、同じ鈴木くんでも赤ずきん役なのか、オオカミ役なのかで話し方や立ち振舞が変わってくるということですね。
繰り返しになりますが、固定ドのように、キーによって全く色合いが違うものを全て同じものとして考えてしまうのはちょっと不自然ですよね? というわけで僕は移動ド推しです。
という感じで今回は移動ドについて解説しました。
次回は移動ドでのドレミファソラシドの呼び方(トニックソルファ)を解説していきます。
次回もお楽しみに!!
相対音感のレッスンを行っています。
スペースの関係上この講座で全てを解説することはできませんし、練習問題の量も十分ではありません。ちょっと物足りないと感じた方は是非一緒にトレーニングしていきましょう!
初心者~中級者向けのレッスンになっています。 Skypeでのトレーニングになりますので、自宅にいながらレッスンを受けることができます。料金もリーズナブルです。
興味を持たれた方はhajime.doublebass@gmail.comからご連絡ください。併せて僕のウェブサイトもチェックしてみてください!
レーベルサイト立ち上げました。
今後音楽等のコンテンツを配信していく予定です。
鈴木元(すずきはじめ)
洗足学園音楽大学ジャズコース入学を機にコントラバスを始める。 藤原清登氏、佐藤ハチ恭彦氏にコントラバスを師事。
大学入学時より演奏活動を開始し、様々な場で活動を行う。 大学ではビッグバンドなども経験し、第42回山野ビッグバンドコンテストで5位入賞。2011年Taipei International Jazz festivalをはじめ国内外のジャズフェスティバルにも出場。
洗足学園音楽大学で優秀演奏者賞を獲得し、同大学を首席で卒業。
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