新作バイオリンとオールドイタリアンの名器を聞き分けるテストというのは皆さんも見たことがあるかもしれません。
今回は新作の中でも最高峰のものとストラディバリウスを聞き分ける実験です。 しかも聞き分けるのは世界トップクラスのバイオリニストです。結果はどうなったのでしょうか?
多くの音楽家の間では、ストラディバリウスの楽器に敵う楽器はないと言われいていますが、実験によって現代の楽器と聞き分けるのは難しいということが分かりました。
2010年にもストラディバリウスが現代の楽器よりも優れているかどうかの実験が行われました。しかし被験者のレベルが様々であったこととや、試奏時間が短かった等の理由で、疑問が残る結果となってしまったのです。
そこで今回は対象を世界レベルのバイオリニスト10人に絞り、リハーサルルームとコンサートホール75分間演奏できるようにしました。用意された楽器は6本のイタリアンのオールド(うち5個はストラディバリウス)と、新作の楽器の中でも最高峰の6本です。
目隠しをして弾くのに加え、薄明かりの中で目で見て判断できるようにもしました(もちろん新作楽器はオールドっぽく見えるように加工がされています)。試奏する際には他の人に音の感想を聞いたり、伴奏者を連れて曲を弾くことも可能でした。
音色・反応・発音・弾きやすさ等の項目で楽器を判断してもらいましたが、6人のバイオリニストが新作の楽器を最も良いと評価し、4人がストラディバリウスを選びました。さらに、どの楽器が新作で、どれがオールドかを判断するテストでは、間違いの方が多かったのです。
パリ大学の研究者のClaudia Fritzさんらは、7人のバイオリニストは一般的に新作は弾きやすく、オールドは味があり、洗練されていて音色も柔らかだと言っていましたが、少なくとも音色に関して正確とは言えないということが分かったと述べています。
今までは木の組み合わせ・ニス・技術などがストラディバリウスをストラディバリウスたらしめていると考えられてきましたが、それはもしかしたら正しくないのかもしれません。
よくテレビなんかでは芸能人が聞き分けすると言ったのが放送されていますが、今回は世界トップクラスのバイオリニストで実験しています。 個人的に疑問なのは、新作といっても最高峰の楽器が用意されていたわけですから、そこそこくらいの楽器だった場合は全然違うのではないかということです。
オールドイタリアン神話がありますが、自分で気に入れば何でも良いというのもあるかもしれません。ただ、新作の場合年月が経つと音色が変わってくるというところが懸念されるところですね。
レーベルサイト立ち上げました。
今後音楽等のコンテンツを配信していく予定です。
鈴木元(すずきはじめ)
洗足学園音楽大学ジャズコース入学を機にコントラバスを始める。 藤原清登氏、佐藤ハチ恭彦氏にコントラバスを師事。
大学入学時より演奏活動を開始し、様々な場で活動を行う。 大学ではビッグバンドなども経験し、第42回山野ビッグバンドコンテストで5位入賞。2011年Taipei International Jazz festivalをはじめ国内外のジャズフェスティバルにも出場。
洗足学園音楽大学で優秀演奏者賞を獲得し、同大学を首席で卒業。
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