以前に音楽と言葉は似ているというニュースを紹介しました。
では音楽は言語学習においても役立つのでしょうか? 今回はそんなニュースです。
Are musicians better language learners?
http://www.theguardian.com/education/2014/feb/27/musicians-better-language-learners
現代社会では子供がより良く育つために親にも多くのプレッシャーがあります。
子供が将来成功するように、知力や言語能力などを育むためにドリルをさせたり、歌を習わせたりと、親はあの手この手を試しますが全てが効果的とは限りません。ですが多くの論文によれば、音楽教育が最も効果があるようです。
しかもありがたいことに、一日に何時間も子供に楽器を練習させる必要もありません。研究によると、週1時間のトレーニングで言語能力やIQの上昇に効果があるそうです。
Photograph: Christopher Furlong/Getty Images
例えば、フィンランドでは3~5ヶ国語を話せるのが普通です。
1,2歳の子供でも歌やゲームを通して音楽を学び始めますが、これが言語習得に影響しているのです。今回の研究では音楽教育によって言語に関連する脳のネットワークが強化され、外国語を習得しやすくなるということが分かりました。
脳の成長の95%は7歳までの間に起こり、この期間に音楽教育を受けると、語彙や文法、言語的なIQが高まります。細かな発音の違いなどを理解する能力が上がり、この効果は大人になってから言語を習得するときでも役立ちます。
この研究の研究員を束ねるオックスフォード大学のRobin Dunbarによれば、音楽が出来たのが50万年前で言葉が出来たのが20万年前ということを考えると、音楽から言葉が発達したと考えられます。そのため、音楽と言語の神経系統がかなり重複しているということ、音楽をやると言語能力が上昇するも納得がいくとのことです。
フィンランドでは一般的に小さい頃から7歳までMusiikkileikkikouluという方法で音楽を学びますが、学校教育は7歳で、言語学習が始まるのが9歳かそれ以降です。スタートが遅いにも関わらず、3~5ヶ国語を話せるようになってしまいますし、英語を母国語とする人たちから見ても殆ど問題ないそうです。
とはいえ最も重要なのは子供は自由に遊んでいる時に最も物事を吸収できるということです。
自由な遊びに少し音楽教育を取り込むことで言語能力が上がりますし、恩恵はそれだけにとどまらないのです。実際に、フィンランドでは言語能力だけではなく数学や読み書き、科学の分野でも能力が非常に高いのです。
もしかしたらさらに子供の能力を伸ばす事が期待される世の中になるかも分かりませんが、子供の成長のためには過度に期待しすぎない方が良いというのは変わらないでしょう。
しっかり愛情をかけ、自由に遊ばせ、少しだけ音楽を学んでいれば、脳は自然と成長するのです。
2人ほどフィンランド人の知り合いがいるのですが、両方とも4ヶ国語話すと言っていました。これは僕にとってかなり衝撃的でしたし、いつそんなに勉強する時間があるのかと思ったのですが、そこにはこんな秘密が隠されていたわけですね。
何度か耳にしたことのある話題でしたが、やはり音楽は言語能力に影響するのですね。今回は音楽をやることによる言語学習でのメリットでしたが、その逆も当てはまるのか少し気になりますね。そんなニュースがあればまた取り上げたいと思います。
鈴木元(すずきはじめ)
http://hajime-suzuki.com(レーベルサイトです)
洗足学園音楽大学ジャズコース入学を機にコントラバスを始める。 藤原清登氏、佐藤ハチ恭彦氏にコントラバスを師事。
大学入学時より演奏活動を開始し、様々な場で活動を行う。 大学ではビッグバンドなども経験し、第42回山野ビッグバンドコンテストで5位入賞。2011年Taipei International Jazz festivalをはじめ国内外のジャズフェスティバルにも出場。
洗足学園音楽大学で優秀演奏者賞を獲得し、同大学を首席で卒業。
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