即興演奏などを見たことがある人は、一度は「何か会話をしているようだな」と感じたこともあるのではないでしょうか?
しかしながら、脳がどのように音楽的な”会話”を処理処理しているかは分かっていないようです。それを科学的に解明しようという研究が、ジョン・ホプキンス大学で行われました。
ジャズのアドリブ中の脳の動きを計測し、音楽のやりとりが神経学的にどうなっているのかを研究したのです。
その結果、言葉と音楽の共通点・相違点が見えてきました。
ピアニストの協力のもと、MRIの中で膝にキーボードを乗せて演奏してもらいました。
アドリブを交互に交換し合い、その時の脳波を計測しました。
実験では、脳の中でも文章構造などを司る部分が、実際に会話をしているかのように非常に活発になっていましたが、一方で言葉の意味を処理する部分に全く変化がありませんでした。
つまり、音楽と言葉は同じ部分も多いものの、完全に同じなわけではないということです。
ここから、脳は言葉も音楽も構造的には同じにように捉えているということが分かります。
これによって2つの事が分かります。
- あらゆるコミュニケーション手段を同じ様に処理している可能性があるということ。
例えばジェスチャーなんかが代表例ですが、視線・距離感・姿勢・服の着こなしといった非言語コミュニケーションも、言葉を使ったコミュニケーションも、区別せずに脳が処理している可能性があります。 - 2)実際の意味の捉え方はコミュニケーション媒体によって異なるということ。
(1)のように同様に処理していますが、実際にそれが持つ意味というのは媒体の種類によりけりだということです。例えば、視線を外す行為と、姿勢が悪いということの持つ意味は変わってくるということです。
この実験をまとめているCharles Limb氏は「音楽における”意味”は不正確で前後関係によるものなので、言葉の意味とは全く異なるものです。音楽での”意味”をより広く定義することが必要だと分かりました。」と述べています。
今回の研究では音楽と言葉の関係性が明らかになってきました。
言葉と同じ様に処理しているので、コミュニケーションの媒体の一つではあります。しかし、他の非言語コミュニケーションと同様、言葉と同じ情報量を伝える事ができるわけではありません。
そういった意味では音楽の内容そのものにはあまり意味はないのかもしれません。実際に実験でも意味を処理する部分が沈静化しているという結果がでています。音楽はよりエモーショナルなものなのでしょう。
Reference:
Pacific Standard (2014-02-26) Is Music a Language? http://www.psmag.com/ (Accessed 2014-03-01)
レーベルサイト立ち上げました。
今後音楽等のコンテンツを配信していく予定です。
鈴木元(すずきはじめ)
洗足学園音楽大学ジャズコース入学を機にコントラバスを始める。 藤原清登氏、佐藤ハチ恭彦氏にコントラバスを師事。
大学入学時より演奏活動を開始し、様々な場で活動を行う。 大学ではビッグバンドなども経験し、第42回山野ビッグバンドコンテストで5位入賞。2011年Taipei International Jazz festivalをはじめ国内外のジャズフェスティバルにも出場。
洗足学園音楽大学で優秀演奏者賞を獲得し、同大学を首席で卒業。
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