【対談 その1】「音楽理論を学び、それを捨て去った時、そこからが音楽のスタート」生島佳明(ジャズギタリスト)

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生島佳明「音楽理論を学び、それを捨て去った時、そこからが音楽のスタートがようやく切れるんじゃ無いかな」

 

音楽理論が好きな人と一緒に音楽理論について深く浅く話す企画、ジャズピアニスト金子将昭の対談シリーズ『音楽理論な人』

 

第3回目はジャズギタリストの生島佳明さん。コードネームは音楽を便利にした反面、その文字と記号によって音と文字をパズルのように合せる事で音楽成立を可能にしました。そのコードネームがもつ弊害とはいかなるものか??そして音楽理論を学んでたどり着くところとは?

 

 

金子 コードネームってものすごい市民権を勝ち取っていますが、このコードネームがもつ弊害ってあると思うんです。例えばCM7はドミソシですが、コードネームで見てしまうとパズル合わせみたいに「CM7=ドミソシを弾けば良い」というトレーニングをしてしまっている現状はあると思います。それについてどう思いますか?

 

生島 音を文字や数字に置き換えてそれをそのまま文字や数字で理解してしまうって事が、体の癖になってしまっているのがいけないんじゃないかな〜。

 

金子 そして悲しい事にアドリブを学ぶ段階で僕も含めてそのように練習してきてしまっている現状ってありますね。

 

生島 だからこそいかにそこから抜け出すかという事が大事な事にきてるんだと思うなぁ。

 

金子 例えばDm7でDドリアンスケールを使うって事に対しては誰も文句を言わないと思いますが、Dリディアンスケールを使うって事になるとみんな大反対するんですよ。理由を聞くとDm7ではマイナーコードだからメジャースケール系はいかんと。これって言葉の話だと思うんですよね。音ではなく。

 

生島 その音が良いか悪いかを判断できるポイントがあって、耳で聞いてる人はDm7でDリディアンスケールをサウンドさせる事ができると思うんだよね。そこにこそ秘密があって、初めて学ぶ人がコードネームを最初の手がかりにしてたどり着くべきところだよね。

 

金子 そこですよね。本来はそこへたどり着くために音楽知識が無い人でも学べる入り口にしてあるコードネームが遥か手前で役割を終えているっていう(笑)。ちなみにハービーハンコックってDドリアンのところをDホールトーンで弾いてるのありますよね(笑)。コードネームに捉われなさすぎ(笑)。

 

生島 僕もすべてがありだとは思っているんだけど、それをサウンドさせる事ができるっていう秘密にたどり着くためには音楽理論ってものが一つの道しるべになるんじゃないかなと。

 

金子 そういった意味では音楽理論ってやはり無いよりは絶対ある方が良いものなんですよね。

 

生島 僕の中では音楽理論っていうものは、それを完全に染み込ませるまで体に入れて、今度は捨て去る必要があるものっていう考えですね。

 

金子 なるほど。感覚として現れるまで完全に学び尽くさないと役に立たないって事ですね。

 

生島 まず音楽理論を学び、体に染み込ませて感覚として現れてきて音楽理論を捨て去った時、そこからが音楽のスタートがようやく切れるんじゃ無いかな。

 

金子 つまり音楽のスタート地点に行くために、音楽理論を捨てるために我々は音楽理論を学んでいるという事ですね。

 

生島 そういう事だね。そして音楽のスタート地点に立った時には、文字や数字・記号つまりコードといったものが必要なくなるんじゃないのかな。

 

【対談】金子将昭×生島佳明(2)「同じDm7なんて一つとして無いんだよね」

 

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 金子将昭  Masaaki Kaneko http://www.masaaki-kaneko.com/

1982年富山県生。ジャズピアニスト。合同会社前衛無言禅師代表社員。洗足学園音楽大学音楽学部ジャズ科ピアノ専攻卒業。大学時にギター専攻で入学したが2年次よりピアノ科へ転専攻し19歳よりピアノを始める。

堂本光一、大橋卓弥(スキマスイッチ)、imalu、ジョナサン・カッツ、類家心平、マークトゥリアン、フレッドシモンズとのセッションライブやバンドサポート、ミュージカルなどでピアノを担当。

ミュージシャンによる音楽理論研究会『東京音楽理論研究大学』を主催。

 

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生島佳明  Yoshiaki Ojima

ロックをきっかけに音楽に興味を持ち、後にジャズを中心に演奏するようになる。
ギターを岩谷耕資郎氏に師事。
以後様々なミュージシャンとライブやセッションを重ね、2013年単身渡米。
現在は主に都内近郊で活躍中。

 

 

 

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