今から一年以上前の2015/1/9の海保けんたろーさんと対談。なぜ一年も遅れて公開なのかはさておき、これからのバンドマンやアーティストに必要なのは音楽のクオリティも良く、ビジネス感覚にすぐれた人。良いツールがあってもそれを使いこなすためにはビジネスを考えれることは必要な事のようです。(記事構成/原田和真)
「ミュージシャンの在り方が広がれば・・・」
金子 ”ミュージシャン”っていう肩書の解釈が広がってくれれば、主婦の人が何かを始めることって可能になってくる。するとその視点で見れちゃったりするのかなって思うんですよね。
海保 ですね。
金子 そうなってくると『こうやればいいんじゃない?』ってすぐに思って何かやり始める人が出てくると思うんですよね。”中”で「(こう)あるべき」って思ってる人はもうその動きでしかできないんで。
海保 うんうん。
金子 中々新しいことできないじゃないですかやっぱり。『俺ギタリストだから』とか、それ以上のことやれないみたいな。
海保 うん。
金子 だからそういう人たちがポンって出てきて面白いアイディアをバーンって出して、それに乗っかって色んな事が広がってくっていうのがアッチコッチで広まればいいなって思うんですけど、僕の感覚でまだ全然なくて。
海保 そうですね。
金子 『もっと出てくればいいのにな~』『何が問題なんだろう?』ってすごい考えてて。
海保 まぁ、僕も実感としてあるんですけど、やっぱその固定概念というか。
金子 ですよね。
海保 『こういうものだよね』って思ってる人は多いですよね。
金子 『なんでそうなの?』っていう風に根本まで突き詰めて行くと、なんでもなかったりするんですよね。
海保 そうそうそう、そう!
金子 大体なんでもない。
海保 大体なんでもないですよね。
金子 例えば『俺ミュージシャンだから』って話になるとしますよね。
海保 はいはい。
金子 『何やってるの?』みたいな話になってくると。『いや、えっと~……まぁライブしたり、レッスンしたり』
海保 うん。
金子 じゃあ『”レッスン”と”ライブ”の境目をミュージシャンでくくるあれはなんなの?』みたいな話をすると、そこでもうたじろぎ出すんですよね。そこは。
海保 はいはいはい(笑)
金子 そこから話がどんどん感情的な。『音楽に関わってるから』って、割りとふわっと広くなるんですよ。
海保 分かりますね。
金子 ミュージシャンの定義を突き詰めると緩やかになっていくんですよどんどん。最終的に働いててもいいんじゃないって感じするんですけど、そこはダメらしいんですよやっぱり。ちょっと違うみたいな。
海保 はいはいはい。
金子 作曲したりとか演奏したりとか、それはいいんですけど副業持つのはダメだみたいな。そこの突破口全然理解できないみたいな(笑)
海保 う~ん。
金子 それって多分、”今までなんとなくそう思ってきた”とか”そう思わせてきた”とか見たり聞いたりして、慣習だったり考えずに勝手に影響されてなってきてるだけのとこなんで。
海保 うんうん。
金子 なんかそういうの(新しい在り方)を色んな人が色んなところで言って「こういう生き方だよねミュージシャンって。もう世の中は」とかいっぱい意見が出れば、だんだん「そういう風だよね」ってコロって切り替わってくのかなみたいな。
海保 う~んなるほど。
金子 いきなりバン!とは切り替えれないと思うんですよ感情的なところだから。もういっぱい言い出すしかないなみたいな。
海保 なるほどなるほど。
金子 微力ながらこういうこと(対談)をやるしかないな~そうしないと俺が面白い音楽聴けないじゃんみたいな。
海保 なるほど。
「ビジネスモデルを作る為の近道~Lumit~」
金子 ミュージシャン同士で「なんかやろうぜ」ってなんか人は集まるんですよ。それで話すんですけど「あれいいね」「これいいね」ってワァ~っつって「お疲れぇ~」みたいな(笑)
海保 すごいあるあるですね(笑)
金子 人が集まったらなんか一個二個面白いアイディアが出て、次の日にはできるじゃんみたいな。何からでもできるじゃないですか、ちっちゃい動きからだったら。だけどなんか盛り上がって終わるんですよね~。
海保 う~ん。それが染み付いてるものだと思うんですよね~。
金子 で、僕が『じゃあやろうよ!』って言うと引くんですよね。
海保 『マジで?』みたいな(笑)
金子 そう!そうなんですよ!いいんですよ細かいことは。サポートで生きるんだったらサポートで生きる動きに最適化していけばいいんですよ、全然ありだと思うんですよ。
海保 うんうん。
金子 なんかアーティストでいけないからサポートでちょっとやってるみたいな雰囲気はありつつの人がいて、でも『本当はアーティストをやりたい』と。だったらそれサポート辞めちゃって、もうアーティストととして生きるっていうスタンスを取って、なんなら自分でレーベルの会社作って、そういう売り込みをかけるだとか。
海保 うん。
金子 あるいは自分でマネジメントをして、さっき言った2つ目の方(収益モデル)を作っていくとか別に会社じゃなくてもいいけど「やろうよ」って言ったらその人「いや、会社はまだリスクがデカいな」みたいなこと言うわけですよ。
海保 あ~(笑)
金子 その”リスク”ってなんなの!?みたいな(笑)
海保 はいはいはい
金子 今やってることの方がリスクデカい気がするんですけどね。ふわぁ~っと。要は目的が定まってないんですよ。
海保 そういうことですよね。
金子 目の前のことをなんとなく……。友達から一応仕事ちょいちょい頼まれたりするのを辞めれないんですよね、怖くて。それってミニマムだけれども、でっかいメジャーレーベルと発想の根本が同じだな~って思っちゃって。この体勢変えなきゃいけないなみたいな。
海保 僕、わりとトークライブみたいなやつを定期的にミュージシャン向けにやったりととかしてたんですけど、なんか……僕が直接ミュージシャンに向けてメッセージを発信することによって、そういう凝り固まってる系のミュージシャンの意識を変えるっていうのがちょっと無理かもって思い始めて……。ちょっと諦め始めてるんですよ。
金子 え〜(笑)
海保 で、それを諦めて「どうしようもねぇや」ってことではなくて。力を入れる部分を変えようかなと思っていて。
金子 はい。
海保 今はフリクルってサービスが出来るようになって、フリクルって要は音楽活動していくにあたって、特にビジネス的な部分で色々便利になるよ、色んな使い方が出来るよみたいなツールなんですけど。
金子 うんうん。
海保 ある意味、多少本人がビジネス的な事を考えた上じゃないと完全には使いこなせないわけですよ。
金子 あ~はいはいはいはい。
海保 それで、この機能をどう使いこなすかとういことを自分で考えなきゃいけないので。実際にフリクルである程度売上を上げているミュージシャンっていうのは音楽的にも素晴らしいし、ちゃんとビジネス的な事も考えられる、みたいな奴らが稼いでるんですよね。
金子 はいはい。
海保 逆に言うとそのどっちかが欠けてるとダメみたいな感じになるんですけど。だから、そこが問題だからちゃんと考えれるように『教育していこう』みたいなことをやってたんですけど、全然変わんないんですよ!意識低い奴は低いままなんですよ。
金子 はいはいはいはい。
海保 これはここ頑張ってても暖簾(のれん)に腕押しだなと思って
金子 ハハハ(笑)
海保 で、発想を変えて、フリクルってシステム自体がもう何も考えないでも、なんかよく分かんないけど音楽のクオリティ高かったら多少収入に勝手に変わるみたいな。そうなる方にとにかく頑張るっていう、そっちに力割いた方が早いかなみたいな。
金子 なるほどね~。
海保 僕なんか割りと最近個人的な趣向としてはそっち側なんですよね~。だからもちろん教育みたいな事もどっちかと言えばしていきたいし、それでみんな意識が変わっていけばいいなと思ってるんですけど、なんかもうその大変さに結構疲れたみたいなとこあって。
金子 あ~まぁそうですね。
海保 もうなんか人数も多い上に、その場で「なるほど!やってみます!」とか言って、半年後見たら何も変わってないみたいな。めちゃあるじゃないですか!
金子 めちゃあります!僕すぐやるタイプなんですけど。
海保 これ繰り返してても俺が疲れるばっかりだみたいな事をすごい思って。だから彼らはむしろ変わらないという前提の元にサービスを設計して『ビジネスとか何も分かんなくていいからとにかくめっちゃカッコいい曲をここにアップしろよ』
金子 なるほど(笑)
海保 そしてらファンの開拓だのマネタイズだのみたいなやつは適当にこっちがいい感じにやるから!(笑)
金子 ハハハハ(笑)
海保 『その代わりお前の曲勝手に使わせて』みたいな。例えば究極……もちろんそこまでまだ至ってないですけど、Limitみたいなものは新しいファンの開拓を勝手にやってくれるツールじゃないですか。
金子 はいはいそうですね。
海保 そっからメルマガ登録を促して、ライブ情報を……例えばスケジュールを登録しておくだけで勝手にいい感じのタイミングでライブ告知のメールが飛ぶとか。
金子 はいはいはい。
海保 ある程度のファンの人数いったら勝手にファンクラブが立ち上がって、勝手に月額課金をオススメされてみたいなとか。なんかそういうのもう全部勝手にやるみたいな方が早いんじゃないかと思い始めて。
金子 あ、なるほど!(笑)
海保 それで何も分かんないけどカッコいい音楽作ってる奴の口座に何故かうちの会社からなんか『先月3万振り込まれてる』みたいな方を作っていくって方が近道な気がしてきて。
金子 なるほどね~。
海保 僕最近そっち思考なんですよね。
海保けんたろー :Twitter
金子将昭 :Twitter
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海保けんたろー
SONALIOドラマー / 株式会社ワールドスケープ代表取締役
1981年生まれ東京出身。高校入学とともにドラムを始め、22歳からプロとしての活動を開始。 「キマグレン」など数々のアーティストのサポートドラマーとしての活動の傍ら、2008年にはメジャーデビューを経験する。
しかし音楽業界の構造に疑問を感じため独立し、2011年に株式会社ワールドスケープを設立。音楽活動支援サービス・Frekul(フリクル) http://frekul.com/ を公開した。
現在はバンド「SONALIO」と会社経営を並行しつつ、ドラムを教えるYouTuberとしても活躍中。
Twitter http://twitter.com/kentaro_kaiho
金子将昭 Masaaki Kaneko http://www.masaaki-kaneko.com/
1982年富山県生。洗足学園音楽大学音楽学部ジャズ科ピアノ専攻卒。
大学にギター科で入学後すぐ、経験無しのピアノ始め、二年次よりジャズピアノ科へ転専攻。サポート仕事と和風なジャズを演奏する自己の音楽活動と並行しながら、日本初の音楽理論Webマガジン「サークル」編集長、(同) 前衛無言禅師 代表、東京音楽理論研究大学主催、劇団を作ろうプロジェクト主催、音楽アプリ「lepot」の開発、劇団ブラックラックへ楽曲提供、フリーランス向けの確定申告サイト運営など多岐に渡る。現在、百人一首曲付けプロジェクトとジャズスタンダードをトーク・演奏で楽しむ動画をYOUTUBEチャンネルにて公開。「百人一首曲付けプロジェクト」で検索。
現在の所属:劇団ブラックラック、劇団あーてぃすとら、ラフィクション(お笑いユニット)
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