前回はバイオリンとコントラバスの違いについて書きました。
コントラバスはバイオリンやチェロから派生した楽器ではないという事に触れましたが、今回はそのことについて書きたいと思います!!
前回の記事→ 第一回「コントラバスとチェロの違い」
コントラバスが派生した楽器
コントラバスは実はヴィオール属というところに分類されます。コントラバスの元となった楽器はヴィオラ・ダ・ガンバと呼ばれています。
この楽器の歴史は、実はバイオリンよりも長く、15世紀に初めて歴史上に出てきたと言われています。昔の絵画にも書かれています。
ヴィオラ・ダ・ガンバの起源はアラビアのラバーブ、中世ヨーロッパのヴィエール、スペインのビウエラという説があります。つまり、はっきりしていません(笑)
中世ヨーロッパのヴィエール
スペインのビウエラ
今度は絵ではなく、写真のヴィオラ・ダ・ガンバです。
この楽器はバイオリン属とは違って、弦が6本あり、しかもフレットもあります。なで肩で、裏板は平たく、FホールではなくCホールを持っています。バイオリン属と比べて大変特徴のある楽器です。
ヴィオラ・ダ・ガンバの音域
ヴィオラ・ダ・ガンバもバイオリン属と同じで、サイズ(音域)の違うものが存在しています。高い方から、パルドュシュ、トレブル、アルト、テナー、バス、コントラバスの6種類があります。
コントラバスには2種類あって、テナーよりオクターブ低いものと、バスよりオクターブ低いものがあります。パルドュシュというのはフランス以外ではあまり見られず、18世紀以降に作られるようになりました。
音域は以下のとおりです。
画像ではバスまでしかありませんが、上記のようにコントラバスはテノールのオクターブ下、バスのオクターブ下の2種類があります。
コントラバスと一番違うところはフレットだと思いますが、このフレットはガットでできていて、ネックに巻きつけるようにして付けるため移動可能です。そのため平均律だけでなく、純正律、ミーントーンなど、音律も選択可能だったようです。
エレクトリックのヴィオラ・ダ・ガンバ
そして面白いことに、現在ではエレクトリックヴィオラ・ダ・ガンバというものもあるみたいですね!!
製作者さんのサイト:http://www.ruby-gamba.com/electric-gamba
アコースティックなもの比べて、ネックとボディーの接合部がかなり高音域側にあり、フレットも高音域までついていますね。
かなり歴史の古い楽器ですが、実は現在も進化し続けているようです!!
というわけで今回はヴィオール回でしたが、いかがでしたか?こうして見ると、ヴィオラ・ダ・ガンバから派生した楽器とはいえ、コントラバスはかなりバイオリン族に近いものになってしまいましたね。
コントラバスでも裏板が平らなものが存在していますが、共通して受け継いでいるのは、なで肩と4度チューニングくらいです。なんだか寂しいものがありますねー。嫁に行ってしまう愛娘を思う父親のようですね…僕は子供いませんが…(笑)
ヴィオラ・ダ・ガンバを見かける機会はあまり多くはありませんが、見つけたらよく観察してみてくださいー!!
引用元(画像)
http://www.wikipaintings.org/en/jean-marc-nattier/the-music-lesson-1710
viole http://blogs.yahoo.co.jp/extajiji/27680737.html
rabab http://en.wikipedia.org/wiki/Rabab
vielle http://en.wikipedia.org/wiki/Vielle
参考
鈴木元(すずきはじめ)
洗足学園音楽大学ジャズコース入学を機にコントラバスを始める。 藤原清登氏、佐藤ハチ恭彦氏にコントラバスを師事。
大学入学時より演奏活動を開始し、様々な場で活動を行う。 大学ではビッグバンドなども経験し、第42回山野ビッグバンドコンテストで5位入賞。
2011年Taipei International Jazz festivalをはじめ国内外のジャズフェスティバルにも出場。
洗足学園音楽大学で優秀演奏者賞を獲得し、同大学を首席で卒業。
都内・神奈川などで演奏活動・作編曲・レッスンなどで活動中。
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