【対談 その1】「宗教家の素朴な疑問。クラシックとジャズの違いって? 」内藤理恵子(宗教学者)

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今回の対談は宗教学者の内藤理恵子さん。音楽と宗教は実はとても密接なもの。そんな音楽と宗教の話をしていこうと思っていたら内藤さんからの質問攻めから始まりました。。。

木魚を使ってジャズをやるアイディアなどとっても突き抜けた発想の面白い宗教学者。特定の派閥にいないからできるその柔軟な発想に圧倒されつつも色々お話をさせていただきました。 (構成/原田和真(脚本家))

 

~冒頭からいきなり本題へ!ジャズや音楽理論について~

金子 あ、「哲学はランチのあとで -映画で学ぶやさしい哲学-」読ませていただきました

内藤 ありがとうございます

金子 おもしろい内容がいっぱいあって…

内藤 よかった~。本の中に出てきた映画『アマデウス』で思い出したんですけど、金子さんならモーツアルトとかそういうの詳しいんじゃないですか?

金子 いや実は僕、専門がジャズでして。

内藤 ジャズ?

金子 音大でジャズ勉強してたんです。一応、演奏がメインなんですよね

内藤 そうなんですか。楽理科ってのはまた違うんですか?

金子 いわゆる学理科はあるんですけど、楽理科って言い方は東京芸大だけですね。だいたい同じ意味で音楽理論っていう言葉の方が一般的になってます。

内藤 じゃあ音楽理論を習えば作曲ができるってわけじゃないんですか?

金子 もちろん音楽理論を使って曲を作っていくこともできますよ

内藤 演奏者が音楽理論の学科に入ることはあんまりないってことですか?

金子 全然ありますよ。それに昔の人は作曲も演奏も同じ人がやってたんですよね。だけど近代になってからだと思うんですけど、作る人と弾く人の分業が進みましたけど。特にクラシックの世界では。ジャズももちろん作曲する人と演奏する人いますけど、作曲も演奏もする人が多いですよね。

内藤 あ~なんかジャズだと私は即興のイメージが強くて、作曲してもアレンジがババババ~ってなってて元々の作曲があまり重要じゃなくなるイメージがあるんですけど、そこらへんどうなんですか?

金子 例えばグレン・ミラーとかデューク・エリントンとかカウント・ベイシーとかビッグバンドみたいなやつは楽譜に書かれてたりしますんで。そういうのはアドリブする部分は大体決まってますね。

内藤 えええ~決まってるアドリブなんか…

金子 イントロとかは大体これぐらいでって決まってはいるんですけどハッキリはしてなくて。だけど曲が始まったらこの流れで行くよねっていうのは決まってるんですよ

内藤 えええ~~(再び衝撃)

金子 だけど、イントロの部分はある時は凄く激しく弾くけど、ある時はゆっくり弾くかもしれないんですよね。テンポの感じだけ出して、あとは何弾いても阿吽の呼吸で入るみたいな(笑)

内藤 はぁ~阿吽…そこが凄いと思うんだよな~

金子 でもそれも、大体こんな感じで始まるよねっていう当たりはみんなお互いにつけてたりはするので

内藤 ジャズをやる仲間って、スポーツをする仲間よりも一心同体ぶりが凄いかもしれないですね

金子 バンドの場合はそうですね~。中にはセッションバンドって言って、その時のためだけに集められたりすることもあるんで、その時はお互い「初めまして」の状態で弾いてくみたいな感じですね

内藤 それが逆に面白いみたいなのもある…?

金子 そうですね

内藤 じゃあ、聴く側も耳が肥えてる人だと、そのゲームを楽しむみたいな…?

金子 聴く側の肥えてる人は凄く楽しいんだと思いますけど、楽しみ方も色々あると思うので、一概にはなんとも…

内藤 なるほど~。あの~私みたいなパンピーから見ると、クラシックよりジャズの方が難しそうに見えるんですけど。アレンジとかもあるし…。やっぱりクラシック畑とジャズ畑の人って全然違うんですかね?

金子 全然違いますね。そもそも違うジャンルを弾くってのは結構大変なんですよね。リズムが違うので。

内藤 うんうん

金子 クラシックだと1、2、3、4というリズムの上に音が来るんですけど、ジャズではあまり来なくて、ちょっとズラして弾くので。強拍、弱拍とかってのもあるんですけど…。やっぱりリズムの部分が一番でかくて、弾こうとするとなんかクラシックっぽく聴こえちゃったりとか(笑)

内藤 ふむふむ

金子 なんかポピュラーな弾き方になっちゃったりとか…

内藤 そこらへんが多分、素人から見てジャズの方が難しそうなことやってて凄いって見える原因かもしれませんね

金子 そ~…うなんですけど、でもじゃあジャズの人がクラシック弾けるかって言ったらなかなか弾けないですね。特に僕は(笑

内藤 あ、そうなんですか!?

金子 同じように難しいですね(笑)

内藤 そうなのか…

金子 割合を数えた事はないですけど、クラシックをやってましたって言ってジャズをやってる人は経験則でいうと多いです。けど、ジャズをやってましたって言ってクラシックピアニストになりましたって人は聞いたことないですね

内藤 あ~う~ん、なるほど~。多分あれですかね?画家とイラストレーターみたいな感じですかね?凄い画家の人でもイラストの仕事はできないけど、たまには両方やる人もいるみたいな…

金子 似てるかもしれませんね~。やっぱりクラシックとジャズの違いとしては、事前に作曲したものを聴かせるか、お客さんを前にしてその場で作曲的な作業をしながら聴かせるのかっていう表現方法のフィルター的な違いはありますよね

内藤 なるほど

金子 楽譜に対して音楽的に高度な解釈を含めて音符を表現するのと、ジャズの場合は『音符自体を自分で作って…』っていうのがあるので、聞く側はアウトプットされたものを聴くのは同じでも、弾く側は表現の仕方がかなり違いますね

 

(記事構成/原田和真)

 

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金子将昭  Masaaki Kaneko http://www.masaaki-kaneko.com/

1982年富山県生。洗足学園音楽大学音楽学部ジャズ科ピアノ専攻卒。

大学にギター科で入学後、19歳を目前に経験ゼロのピアノを弾くことを決意し、二年次よりジャズピアノ科へ転専攻。卒業後ピアニストとして自己のバンドなどで活動する。

サポート仕事と和風なジャズを演奏する自己の音楽活動と並行しながら、日本初の音楽理論Webマガジン「サークル」編集長、合同会社 前衛無言禅師(ぜんえいむごんぜんじ) 代表社員、東京音楽理論研究大学主催、劇団を作ろうプロジェクトにて劇団運営、音楽共有アプリ「lepot」の開発、ミュージシャンシェアリング企画「1A1L(ワンエーワンエル)」プロジェクト推進、フリーランス向けの確定申告サイト運営など多岐に渡る。現在、百人一首曲付けプロジェクトをYOUTUBEにて公開。「百人一首曲付けプロジェクト」で検索。

 

naitou rieko 
内藤理恵子 Rieko Naito
 1979年生まれ。宗教学者。著書に『現代日本の葬送文化』(岩田書院)、『必修科目 鷹の爪』(プレビジョン)など。
 
 
haradakazuma
対談構成担当 原田和真(はらだかずま)
脚本家。1988年生まれ。北海道出身。大学から山形へ移住、お笑いや演劇の活動を始める。漫才、コント、演劇、アクション、音楽とのコラボ、ラジオドラマなど様々に挑戦し、手段を問わず”エンターテイメント”を追求する。2014年4月に活動を東京へ移す。
 
現在の欲望:映画の脚本をやりたい。マジシャンの仲間が欲しい事。
現在の所属:劇団あーてぃすとら、ラフィクション(お笑いユニット)
 
 

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