【対談 その4】「曲作りが達成されてば音楽理論を通らなくても良い」寺内克久(不定調性論)

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音楽理論対談(4)「音楽理論と社会金子将昭×寺内克久

 

対談「音楽理論と社会」(3)

対談「音楽理論と社会」(2)

対談「音楽理論と社会」(1)

 

寺内:いえいえ、これは単に「音楽講師の悩み」ですけど、毎回マン ツーマン60分ウン千円というレッスンを提供していて「はたして受講生全員それぞれに価値のあるものを提供できているのかな、大丈夫かな」というものです。サービスというのは貨幣価値にしにくいです。決まったカリキュラムが万人にウケる時代ではないし。

でもこの需要と供給のバランスを保つべく新しい貨幣経済が必要、とまでは思っていないか自分も(笑)。そういうカリキュラム研究の一つとして音楽理論の学習・知識の提供というサービスも変化していくべきかな、なんて思って不定調性を活用しています。 理論書の伝え方を変えないと 「ニコ動世代には通じないぞ!」と思います。つまり、先ほど金子さんが言われた「ものさしがない時代」に沿った学習カリキュラム作りは新しいものを生み出す可能性になってきたという意味です。

 

金子:そういった価値のバランスは新たな課題ですよね。従来のお金の価値に比べず、新しい貨幣にとってかわる秤は世の中がまた決めるのか自分が決めるのかという。 理論にしても音楽が様々な形がでてきて説明がつかなくなってきてますからね。そういった形で音楽理論もまた新しいのものが出てくる時なのかもしれませんね。

こんな事をいうのは変なんですが、僕は「曲を作るのが達成されるなら音楽理論を通らなくても良い」と思ってます。しかし出来た物を音楽理論でまとめるのは賛成です。作りたい人 の中にはそういう入り口のニーズは常にあると思いますので。それと合わせてもっと多くの種類の理論がでてくると良いと思っていますね。

ものさしの無い時代がもたらすのは自分にあったものにいかに出会うかだと思っていますので。音楽理論を組み上げるのも一つのブームにでもなればいいんですけど(笑)。 そういった中で残って行くもの無くなって行く物があるのではないかなと。

 

寺内:そのとおりですね。あとはそうした社会競争が音楽やる人、考える人の民意を底上げして新しい音楽理論にもつながるでしょうし、社会全体のスキルアップがまたより分かりやすいメディアの発明や、より画期的なSNSの開発につながっていくんでしょうね。言われてみれば不定調性論も「時代に置いてい かれないように。」なんて気にしているかも(笑)。

 

金子:置いていかれてもいいんです。またその時の新しいものを作ったりアップデートを繰り返せばいいのです。そのうち良いものは残り自然淘汰されると思います。ただ、良いものがあるのにアクセスできず知ることのないまま現状維持が良い、と思ってしまってる人がもしいるとしたらそれはなんとしてでも伝えていきたいなとおもいますね。

 

寺内:そうですね。生きてる間は改訂するつもりだし(笑)。そういう意味も含め、一つのコンテンツとして金子さんは、このサイトを掲げた、というのもあるんでしょうね。はじめてネットで見て「なんじゃこりゃ!」って感じましたよ(笑)。 でもこのサイトは、個人の範疇にはなく、大きな視点で沢山の 分野を扱ってますよね。画期的だな、と思います。もっと金子さん全面に出ても良いくらい(笑)。

 

金子:それぞれ自分に色んな要素があるんですよね。それの一要素をやってみたんですよね。個人のコンテンツ力が非常に大事になるとも思いますし、何より「なんじゃこりゃ!」って感想は一番欲しかったものです(笑)。「普通だね」とか「今までのなかで一番良いね」くらいだとインパクト弱いなと

音楽理論を大きな視点で沢山拡大して扱うってのは色んな人にみてもらおうと思ってるからですね。こんな形のものは見た事無いので一個くらいあっても良いだろうと(笑)。自分が作って自分を出すより世の中にまだ無い面白いものを提供したかったので、僕はこのコンテンツの中で自然に出れると良い なとこっそり思ってます(笑)。

 

寺内:たしかに「音楽理論」という形態が、音楽方法論で留まらず、もっと大きな学問に進化してほしいなぁ、とは思います。はっきりいって「音楽理論」って中にいると、あまりイメージ良くない!(笑)。頭でっかちみたいなイメージになっちゃうんです。 不定調性でも、次元の話や、環境の話、未来の話などを織り交ぜながら、音楽を勉強する人が、好きな音楽を通してこれまで学ばなかった分野に目を向けてくれればいいな、と思っています。

 

金子:このWebマガジンも音楽理論を方法論ではなく生きる事の全てにつなげて考えてほしくて、音楽理論を拡大解釈して様々な記事を取り扱ってます。興味がある既存の人達だけではなく興味が無い人達の架け橋になってれば良いなと思っ ています。

音楽を学んでそこに立ち止まってしまわずに、そこから各分野に出て行けるアーティストが増えると面白いものがどんどん生まれてくるんじゃないかなと思ってますしね。自分がそうでありたいし、またそういった人達を増やしたいですよね。

その人達から生まれるまだ見た事の無い何かがとても楽しみなんです。僕のも含め。それは人々の役に立つ物かもしれないしそうじゃないかもしれない。しかしそういったクリエイションこそが世の中を変えて行くと思っています。

音楽と社会をつなぐ、音楽理論にもそういった形で可能性を見つけて実践していきたいと思いますね。結果は東京音楽理論研究大学などで報告していけたらと思いますね、と宣伝してみる(笑)。

 

寺内:最終的にどこに行くのか楽しみですね。「まさか音楽理論という学問がこんな分野とコラボするなんて思ってもみなかった!」って言ってみたい(笑)。 不定調性論もオレ流を作るというところから始まり、新しい何かを漠然と考えていまし たが、まだまだ音楽という中を整理している段階ですから、今回の対談をヒントにもっと広い分野まで広げていけるよう模索してみます。

 

金子:そうですね。本日はありがとうございました。

 

寺内:ありがとうございました。

 

 


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金子将昭  Masaaki Kaneko http://www.masaaki-kaneko.com/

1982年富山県生。洗足学園音楽大学音楽学部ジャズ科ピアノ専攻卒。

大学にギター科で入学後、19歳を目前に経験ゼロのピアノを弾くことを決意し、二年次よりジャズピアノ科へ転専攻。卒業後ピアニストとして自己のバンドなどで活動する。今まで堂本光一、大橋卓弥(スキマスイッチ)、imalu、ジョナサン・カッツ、類家心平、マークトゥリアン、フレッドシモンズとのセッションライブやバンドサポート、ミュージカルなどでピアノを担当。

サポート仕事と和風なジャズを演奏する自己の音楽活動と並行しながら、日本初の音楽理論Webマガジン「サークル」編集長、合同会社 前衛無言禅師(ぜんえいむごんぜんじ) 代表社員、東京音楽理論研究大学主催、音楽共有アプリ「We Compo」の開発、ミュージシャンシェアリング企画「1A1L(ワンエーワンエル)」プロジェクト推進、フリーランス向けの確定申告サイト運営など多岐に渡る。

 

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寺内克久  Katsuhisa Terauchi
 
大学卒業後専門学校にてジャズ理論を学びながら作曲/演奏活動、作曲家としてデビュー後大、手音楽専門校へ就職。その後music school M-Bank発足と同時に、経営/運営スタッフとして、またギター・ウクレレ・ベース・作曲・DTMの講師として活動。
 
最先端のポピュラー/ジャズ和声学を目指し『不定調性論』を提唱し、レッスンでの活用、各方面での研究発表を行いながら、実践的で個性を活かす音楽レッスンカリキュラムのコンサルタントとしても活躍中。日本音楽理論研究会幹事。日本リズム協会会員。毎週250kmを乗る、ロードバイカー。M-Bankの通信講座ブログ , 不定調性教材のお申し込みはこちらから
 
 

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