【コラム】Vol.7「続・showとジャズ 」ジャズギタリストYoshi Ojima NY放浪記

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みなさん、お待たせしました!
続編です!

半分ワクワク、半分あまり期待しないで向かった先で実際に感じたこと。

ニューヨークに到着したらまずはとにかくライブを聴きまくっていた。日本で聴いたら8000円位するライブが1000〜2000円位で聴ける。この状況、お得感がハンパない。片っ端から日に2,3本のペースで聴いていた。


しかし、徐々に疑問も大きくなっていた。確かに演奏はすごいが、自分が求めている即興の部分はあまり無いんではないだろうか。曲順、ステージ構成、イントロ、エンディング、それ等がほぼ決まっているように感じられた。それがわかってからはあまり楽しめていなかったかもしれない。

当時は、ライブを聴くだけではなく深夜のジャムセッションにもよく行っていたのだが、このジャムセッションのレベルが日によってバラバラで、よくない時はほんとにグダグダ笑

で、向こうのジャムセッションは日本とやり方が違っていて、最初ハウスバンドが1時間位ライブをやってあとはやりたい人が勝手に参加する。(ハウスバンドが順番に演奏者を呼んでステージに上げてくれるということは無い。)そして運がいいとそのハウスバンドが演奏してる時に、他のライブを終えたミュージシャンが集まってきてそこに混じったりする。

もちろん実力があるプレーヤーだ。そしてこれがいわゆるアフターアワーズというやつだ。気兼ね無くミュージシャンがその時の気分で演奏したいように演奏する時間帯、セッション。

そんな演奏を聴いていてハッとさせられた。普段自分が追い求めている演奏はまさにこれのことだった。ミュージシャンそれぞれが全ての音を漏らさず聴き、一拍単位でコミュニケートしながら道を作っていく。しかもその密度がハンパない。音の一つ一つにジャズが生まれてから今に至るまでの歴史が感じられた。

そこで今まで自分が勘違いしていたことに気付いた。それはつまり、こういったトップのプレーヤーは当たり前のようにそのような演奏ができるんだ、ちょっと大袈裟に言えば、朝飯前のようにできてしまうんだ。

だからそれらをわざわざshowのライブでやる必要があるんだい?って感じなんだと思う。けど自分の場合はそれがまだまだできないからそこに執着し、そこに価値を感じ、そこを磨いて、そこを聴いてもらいたいと思っているんだ。


そういったことに気付いてから聴いたライブはまた違った印象を受けた。一つ一つの瞬間にありとあらゆる選択肢があるなかから取り出した一つのサウンドに説得力を感じたり、大きなレールは決まっているものの、実際には細かいやりとりがなされているように感じた。とにかくクオリティがものすごく高いということ。


後から聞いた話だが、ある有名なビッグバンドの普段よくソロをとっているプレーヤーがたまたま参加できなくて他のプレーヤーに変わった時があったんだが、そのプレーヤーの演奏が全然浮き立ってこなかったと言っていた。全然印象にも残らないということ。そこで改めて本来のソロイストのすごさを実感する。普段そのレベルが当たり前になっているから凄さに気付かないのだ。


話をもとに戻すと、そんなこんなで、ニューヨークに来てほんとによかったと思っている。これらは日本にいただけでは気付けなかっただろう。改めてそういったミュージシャンの凄さ、音楽の深さに気付き、自分の目指すところがはっきりしてきた。
さあやるぞー!!

 


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生島佳明 Yoshi Ojima

Ozzy Record代表 http://www.yoshiojima.com/

ロックをきっかけに音楽に興味を持ち、後にジャズを中心に演奏するようになる。ギターを岩谷耕資郎氏に師事。以後様々なミュージシャンとライブやセッションを重ね、2013年単身渡米。現在は主に都内近郊で活躍中。

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