【初心者のためのゼロからの楽典入門】「五線と音部記号」
まずは五線と音部記号(おんぶきごう)です。
1:五線
2:音部記号
1: 五線
1.1 : 五線とは
音の高さを相対的に書き記す事を「記譜(きふ)」という。記譜には「五線(ごせん)」を用いる。五線は上記のようなものである。
五線の各部分の名称は以下に示す。
読み方は「第1線(だいいっせん)」 、「第1間(だいいっかん)」と読む。
五線内に記譜できない音高をもったものは上記のように臨時に短い線を用いる。その臨時の線を「加線(かせん)」と呼ぶ。
加線の各部の名称は以下に示す。
※「上」は「かみ」と呼び、「下」は「しも」と呼ぶ事が多い。例えば、「上第3間(うえだいさんかん)」、「下第1線(しもだいいっせん)」のように読む。
加線に制限はないが、多すぎると読みにくくなるためオクターブ記号の「8va(オッターヴァ)」や「8vb(オッターヴァ・バッサ)」を用いて表示する。「8va」は「オクターブ高く弾く」の意味で、「8vb」は「オクターブ低く弾く」という意味である。
8va(オッターヴァ)の使用例:
下記の二つの譜例は同じ音高を示している。
8vb(オッターヴァ・バッサ)の使用例:
下記の二つの譜例は同じ音高を示している。
「8va」は「8」と略記される事があり、8vbは「8」またはオッターヴァと同じ「8va」と略記される事もある。
2: 音部記号
五線は音高の絶対的な音を示していないため記譜されただけではその音高を特定できない。そこで絶対的な音高を示すために音部記号(おんぶきごう)用いる。
音部記号には音高の絶対位置を示すのに応じていくつかの種類がある。それを下記に示す。
高音部記号:
「ソ(G)音」を決定する音部記号
[日本] ト音記号(とおんきごう)[ドイツ] G Schlüssel(ゲー シュリセル)
[イギリス] G Clef(ジークレフ)
中音部記号:
「ド(C)音」を決定する音部記号
[日本] ハ音記号(はおんきごう)[ドイツ] C Schlüssel(ツェー シュリセル)
[イギリス] C Clef(シークレフ)
低音部記号:
「ファ(F)音」を決定するための音部記号
[日本] ヘ音記号(へおんきごう)[ドイツ] F Schlüssel(エフ シュリセル)
[イギリス] F Clef(エフクレフ)
※シェリセルはドイツ語で「鍵」や「手がかり」などの意味で用いられる。
音高を決めるためではなく楽器の押さえる位置や叩く位置を示すための音部記号もある。
パーカッション記号
打楽器などの記譜に用いる。
TAB記号(たぶきごう)
ギターやベースに用いられる。音符を用いない特殊な用法で記譜されるため、タブ記号を用いる場合は五線ではなく弦の数に合わせてギターは6本、ベースは4本の線のものを使用する。五線の楽譜を「五線譜」と呼ばれるが、弦の数に合わせたタブ記号を用いた場合は「タブ譜」という。
音部記号の用法を下記に示す。
高音部記号(ト音記号):
下記に記載している音高はすべて同じである。
(1)「バイオリン(トレブル)記号」非常によく使われる一般的な用法。
(2)「小バイオリン(フレンチバイオリン)記号」ほとんど使用されない。
(3)「ト音記号8vb」バイオリン記号の音よりオクターブ低くなる。(ト音記号8vbの第2線はバイオリン記号での下第3間の音高になる。つまりバイオリン記号よりオクターブ低く表記されることになる。)
(4)「ト音記号8va」バイオリン記号の音よりオクターブ高くなる。(ト音記号8vaの第2線はバイオリン記号での上第1間の音高になる。つまりバイオリン記号よりオクターブ高く表記されることになる。)
中音部記号(ハ音記号):
下記に記載している音高はすべて同じである。
(1)「アルト記号」非常によく使われる一般的な用法。
(2)「テノール記号」
(3)「メゾソプラノ記号」
(4)「ソプラノ記号」
低音部記号(ヘ音記号):
下記に記載している音高はすべて同じである。
(1)「バス記号」非常によく使われる一般的な用法。
(2)「バリトン記号」
(3)「低バス記号」
「へ音記号8va」や「へ音記号8vb」なども使用されるが用法はト音記号時と同じである。
金子将昭 Masaaki Kaneko
1982年富山県生。ジャズピアニスト。合同会社前衛無言禅師代表社員。洗足学園音楽大学音楽学部ジャズ科ピアノ専攻卒業。
大学時にギター専攻で入学したが2年次よりピアノ科へ転専攻し19歳よりピアノを始める。
大橋卓弥(スキマスイッチ)、imalu、ジョナサン・カッツ、類家心平、マークトゥリアン、フレッドシモンズとのセッションライブやバンドサポート、ミュージカルなどでピアノを担当。
音楽理論の研究する東京音楽理論研究大学を主催。
音部記号のドイツ語ですが
「シュルッセル」もしくは「シュリュッセル」
あたりが現地の発音にはより近いです。
シュリセルはちょっとおかしいかな「リ」の音は少なくともないです