生島佳明「もともと音を言葉で伝えるなんて無理な話だと思うよ。」
金子 街中で耳にする音楽のほとんどが音楽理論の説明できてしまう現状があって、耳で音楽を追いかけても実は音楽理論で説明できる内容であふれている。だから耳がそれに強制されてしますんですよね。そういった現状ってあるんじゃないかなと思うんですがどうですかね?
生島 まぁ、感覚だからね。そういった事はあるんじゃないかなと思うね。
金子 以前に趣味で音楽やっている知り合いが、初めてライブをするので見に行った時に、「初めて作曲しました」って曲を聞いたんですが、起承転結とかは無くてコードも覚えたので弾いてみました、みたいな感じで、いわゆるオリコンチャートに入るような曲にはなってなかったんですね。だたそれを聞いて「あ、なんか面白いなコレ」って思ったんですよ。
生島 なるほどね。いい発想やスピリットや新しいものってそういった中にあるからね。ただそれを人にうまく伝えるにはどうしたら良いかってことが難しい事だよね。
金子 今ってCM7でCmペンタは有りですが、その逆のCm7でCメジャーペンタは無しって方向ですよね。もしかしてこれって今まで作った人がいたけど、うまく伝わらなかったという事ですかね。そして今では作る事すらないという。もう一度、音をそのまま聞くっていうのを提案したいですよね。
生島 音をそのまま聞くってそれが音楽の起源だとも思うんだよね。音楽が生まれたときは音を聞いて良いなって思ったものが音楽になったと思うしね。
金子 今仲間と今までまったく音楽理論で正当派じゃないのを使って曲を作ってみんなに判断してもらうサイトとか作ると面白いかなとか話していて(笑)、そして配信だけなら今のご時世は活動としてまずスタートできちゃうっていう(笑)。でもこんなマイノリティな事やっているとどんどん世間と離れて行く(笑)
生島 いいね〜!攻めていこうよ(笑)。
金子 (笑)。なんだがテーマから離れてしまいましたが・・(笑)、えっと・・・、コードシンボルですね。コードネームが自分の足かせにならないようにはどうしたらよいか。
生島 やはり長い道のりが必要かと思うね。ベーシックな物を学んで、次にそれに捉われないように弾くっていうことだと思うけどね。
金子 前回の「音楽理論を学んでそれを捨て去ってからが本当の音楽」ってやつですね。
生島 そうだね。でも音楽理論はとりあえずは置いておき、それを考えずにやりたいっていう「気持ち」の部分もやはり大事だと思うよ。もともと音を言葉で伝えるなんて無理な話だと思うよ。捨て去るっていうのはそういう意味だね。
金子 なるほどね。僕も講師をやっているんですが、言葉で伝えるって事を考えた時に先生や講師の方達は重要な使命を担っている事になりますね。
生島 先生とかやっている人は、なんとかして言葉で伝えなきゃいけないっていう使命もあって言葉に置き換えようと頑張るんだけど、やはりそれが本来の意味として伝わっていないって事もあるんだろうね。それで教えられた人は言葉の影響力・インパクトの強さに、線引きされた事をしっかり守って弾くってことになっていってしまうんだよね。
【対談】金子将昭×生島佳明(4)「コードを見て演奏する度に自分の演奏が変わる。それがコードの持つ一番の良い部分だよね」
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金子将昭 Masaaki Kaneko http://www.masaaki-kaneko.com/
1982年富山県生。ジャズピアニスト。合同会社前衛無言禅師代表社員。洗足学園音楽大学音楽学部ジャズ科ピアノ専攻卒業。大学時にギター専攻で入学したが2年次よりピアノ科へ転専攻し19歳よりピアノを始める。
堂本光一、大橋卓弥(スキマスイッチ)、imalu、ジョナサン・カッツ、類家心平、マークトゥリアン、フレッドシモンズとのセッションライブやバンドサポート、ミュージカルなどでピアノを担当。
ミュージシャンによる音楽理論研究会『東京音楽理論研究大学』を主催。
生島佳明 Yoshiaki Ojima
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