【部屋と洋楽と私 】第5回:部屋とデーモン・アルバーンと私

長い大学院生時代を振り返って

今回は大学院生の時に聴いていた音楽を振り返ってみたいと思う。大学院生という身分は、一見お気楽に見えると思うが、その実、鬱々とした気分との闘いである。私の場合、大学卒業と同時に似顔絵師になったこともあり、その時点で早々にアウトロー宣言したに等しく、過去の知り合いとはおおよそ縁が切れたので気楽といえば気楽だったが、それでも、残ったわずかな友人・知人の理解も全くと言って得られず、近所の友人の母親にまで「研究? 何やっているかわからない人を連れてこないで」とまで言われるようになった。私の場合は20代後半をそのようにして過ごしていたのでかなり精神的にキツかった。

Wii経由でブラーと出合う

大学院生とは心身ともに病みがちなのである。仕事や恋愛で、人生でもっとも華やかであるはずの20代を地味な研究に費やし、先述のように周囲の理解も得られない。中には、憂鬱の虫に侵食されるのを防ぐため、毎日のようにジムに通っていた大学院生仲間もいたが、私はその時間と手間が惜しかったため、代わりに考えたのが……任天堂Wiiで体を動かすことであった。

特にお気に入りだったのが、「WE CHEER2」というソフトである。これはWiiのリモコンをポンポンに見立ててチアダンスをするというソフトで、プレイすると心身とも元気になり、大いに励まされる。自分で自分の応援団になった気分になれるのである。そこで、それを毎日のルーティンの中に取り入れていた。(リモコンが割れるほど真剣にそのルーティンをこなした)

そのチアダンスの曲目の中に、なぜかブラー(イギリスのロックバンド)の「Song2」という曲が入っていた。チアダンスにブラー? なぜこの選曲なのか、ソフトを開発したバンダイナムコゲームスに聞いてみたいところではあるが、とにかく、私はその曲がいたく気に入り、ブラーを聴くようになった。

デーモン・アルバーンとの再会

その後も、ブラーの「中の人」(すなわちバンドの面子)がどんな顔をしているのか、特に考えることもなくブラーをなんとなく聴いていた。「中の人」にようやく興味が湧いたのは、昨年。apple musicの聴き放題サービスでブラーのミュージックビデオを一時期観ることができた時期があり(注:現在そのビデオは消されている)その時、やっとブラーのフロントマンであるデーモン・アルバーンの顔を見た。

どストライクの好みの顔であったので、ネットでさらなる画像を検索して驚いた。ビデオの時点では若かったが、デーモン・アルバーンは、すでに47歳、見事なまでに“枯れたオッサン”になっていたのであった。なお、かくいう私も30代後半戦に突入していた!

新たな夢

しかし、加齢などに負けられない。私は今もデーモン・アルバーンのプロジェクト(アニメーションのキャラクターとデーモン・アルバーンの楽曲を組み合わせた架空バンド)「ゴリラズ」の世界に夢中である。目下、私の新たな夢は40歳になるまでにはデーモン・アルバーンのお膝元であるイギリスに行って、ゴリラズのグッズを土産として買って帰ることである。

 

デーモンアルバーン

<イラスト/内藤理恵子>


内藤理恵子 Rieko Naito

naitorieko

1979年生まれ。著書に『必修科目鷹の爪』(KADOKAWA)、『現代日本の葬送文化』(岩田書院)などがある。Twitterアカウントは@drjoro.

 

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