【対談】「音楽理論の必要性」ゲスト:鈴木元

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音楽理論が好きな人と一緒に音楽理論について深く浅く話す企画、ジャズピアニスト金子将昭の対談シリーズ『音楽理論な人』

 

第2回目はジャズベーシスト鈴木元さん

 

今回は「なぜ音楽理論を勉強するのか?」、「音楽理論は知識でしかないのか?」、音楽理論を学ぶ以前の音楽理論の必要性について話があっちこっち行きながら語っていただきました。

 

 

音楽理論を学ぶ必要性                         

金子 以前、バリバリ活動している歌の人や打楽器の人とかに「私たちも音楽理論を学んだ方が良いんですか?」って質問された事があったんだけど、学んだ方が良いよっていう意見で答えを返す事はできるんだけど、論理的に学んだ方が良いとは言えなかったんだよね。

 

演奏家の中には音楽理論を知っている幅は様々あると思うけど、やっぱりあまり知らない人も少なからずいると思うし、その人達が演奏がダメかというとそうではない。

 

こういう話を音楽理論が得意な人に話すと、皆「学んだ方が良い」とは言うんだけど、やはり希望的観測の域をでてないような感じがしてしまう。じゃ音楽理論ってただの知識なんだろうか?とか思ったりもします。その辺りは鈴木君はどう考えてますか?

 

鈴木 僕は演奏家が皆と音楽を作っていて、その現象がどうなっているかっていう根本を知るっていうのはごく自然な事かなと思ったりしてるので、知りたくなるのが普通じゃないかなと思ってしまいますね。

 

金子 なるほど。つまり学びに行くのではなく知りたくなるものだと。人って何かを費やす力を一個に集中したり別々に分けたりと色んなタイプがいると思うんです。ある人は演奏と音楽理論とで50%ずつ。ある人は演奏のみに100%みたいな。

 

鈴木 効率を考えない場合って事ですよね。

 

金子 そうそう。それで演奏のみの人はその分の能力がアップする。それで満足している人は理論に興味をもたないとしても良いんじゃない?なんて思ったりしたんだよね。

 

鈴木 言語でいえば会話はできるけど文字は書けないっていう感じですかね。

 

金子 会話しか出来ない人でもみんなと意思の疎通はできる。音楽で言えば理論はわからないけどイントロや曲を聞いて「そろそろイントロが終わりそうだな、ここで入ろう」、とか「ここで場面が変わる」っていうのをわかっている。そうなると理論の必要性がなかなか説明できないっていう・・。

 

鈴木 意思の疎通が出来れば文字が書けなくても良いのか?って事ことですかね・・。

 

金子 そういう問題になりそうだね。

 

 

音楽理論が含む二次的な役割                     

鈴木 文字が書けて会話ができるって教養を持つってことだと思うんですね。そしてそれは文化を形成するんじゃないかなと思ってます。

 

金子 音楽以外にでも役に立つってこと?

 

鈴木 二次的にですね。人間が集まって演奏するので演奏の仕方で意見が2つに割れる時ってあると思うんです。その時に冷静な判断で知識や理論を駆使してその場を収める事ってできると思うんですね。

 

金子 必ずしも音楽に直接関係しなくても音楽に関する別な部分で役立つということですね。確かに人間が関わる以上そういった場所に冷静な意見が大事だったり第三者の理論の力を借りて収めたりとかはあるね。

 

鈴木 そういった時に意見をまったく言わない人とガンガンいってくる人と分かれますよね(笑)。

 

金子 分かれるね(笑)。あれは性格もあるんだろうなぁ・・。話を戻すと、音楽理論は音楽のみに役立つことではなく人間が関わるものであるから、文化的・教養的な意義からも音楽をする以外にも十分に役立つ事がいえるという事ですね。

 

 

 

音楽理論とは自分の幅を広げるツール                            

金子 ではDTMや打ち込みでできた曲っていうのは、一人の人間で完結するし人間が演奏しているわけではないから理論とかは必要ないと考える?

 

鈴木 もちろんさっきの文化的な面や教養的な面からの話もあるんですが、やはり知っているべきではないかなと思います。知っていてそれをやらないのと、知らずにやらないのとは違うんじゃないかなって。四分音符にも何通りもの情報や弾き方がありますし。

 

金子 文化とか教養を無しにして四分音符を弾くっていう一つの事を取り上げたとしたら、理論を知っている事によって色々な四分音符の弾き方が見つかるし、表現の幅が広がるから知って損は無いということですね。

 

鈴木 そうですね。でも、知りたくならないのかなぁ・・。

 

金子 確かに世の中のすべては「あれってどうなってるんだろう?」の疑問から始まってよね。ニュートンの重力の話だって、あの有名なエピソードの意味は「なぜリンゴは落ちたんだろう?」っていう素朴な疑問にあるっていうわれてるしね。

 

鈴木 カレーライスでいえば、なんとなくカレーが作れる人と、色んなバリエーションが作れる人との違いというか。

 

金子 いきなりカレーライスで例えるか(笑)。カレーライスに限って言えば俺はなんとなく派だ(笑)

 

鈴木 作り方を知っていれば、ジャガイモや人参以外も入れれるし、辛さの調節やそもそも別の辛さの種類にもできる。それをやってると「シチューでも応用できるな」とか思ってそれがどんどん広がっていくんじゃないかなと思うんですよね。

 

金子 つまり理論は自分が出来る範囲の幅を広げる事ができるということね。ちなみに「カレーの具材をシチューで」っていうのは理論とはいわなくても自然とやっちゃう人もいるよね?

 

鈴木 それは自分で認識はしてないけど理論的なことに踏み込んでいるんじゃないのかなぁ・・。

 

金子 無意識に理論を自分で構築しているということかな。僕の知り合いのシンガーソングライターに理論とかコードを全く知らないけどポップスの曲を作ってくるんだけど、その人もカレーが作れる人?ちなみにその人はBm7のところにBnって書くんだけど。

 

鈴木 それはなんとなくカレーが作れる人かもしれないですけど・・(笑)

 

金子 でもコード進行は普通の理論で出てくる進行なんだよね。

 

鈴木 それはカレーを作り慣れてるからでてくる進行なんですよね。耳で慣れてるからこっち側もいけるだろうなっていう事だと思うんです。逆に言えば耳で聞いてない進行は絶対作れないんじゃないんですかね。

 

金子 耳で聞いてない範囲まで入って行くときには理論を切り口にすると新しい事がでてきやすいということね。さっきでてきた「自分の幅を広げる事ができる」って言う事になりますね。

 

鈴木 そうじゃないかなと思いますね。

 

金子 という事はカレーをなんとなく作る人もカレーを理論で作る人も優劣の差はほとんどないという事?

 

鈴木 優劣は無いと思います。ただ知っている方が幅は広がるかなとは思います。

 

金子 そうなってくると音楽理論は自分の幅を広げる事ができるツールであるといえますね。

 

 

 

文化や教養、ジャンルを超えて役立つ音楽理論                                        

鈴木 そうですね。幅を広げるって事に限ると他にもあると思っていて、僕は最近オカリナ初めてみたりしてます(笑)。

 

金子 へー!!ウッドベース奏者がセカンド楽器にオカリナ!なかなか興味深いね。自分の能力を伸ばすためにそればっかりやっているより、別のジャンルのものから自分のメインのものを伸ばすっていうやり方って重要だよね。

 

鈴木 僕は、それでオカリナを選びましたから(笑)。

 

金子 そういえばプログラマーの友達がC言語でプログラムするのと音楽は同じだ、みたいな事いってたなぁ。別のジャンルから共通するものを見つけ出す事ができるようになるってジャンルを超えた理論って感じがするね。

 

鈴木 音楽理論って音楽以外にも文化や教養の面からも役立つし、そういった意味ではジャンルを超えた理論にもなりえますね。それに自分の幅を広げるツールにもなりえる、音楽理論はとっても万能な道具だと思うのでみんなにも興味を持ってほしいなと思いますね。

 

金子 音楽だからといって感覚だけでするより、理論でも把握すると文化や教養の面で自分を伸ばすだけでなく自分の幅を広げて新しいものにも出会う事がありますと。今回のこの結論なんか良い事づくめで怪しいな(笑)

 

鈴木 確かに(笑)。次回は音楽理論のもつ弊害についても対談しましょう(笑)。

 

金子 絶対やろう!。「音楽理論は知らない方が良い!」くらいの結論にもっていこう(笑)。

 

鈴木 それ音楽理論マガジンでやっちゃだめですよ(笑)。

 

金子 これはそんな雑誌だよ(笑)

 

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img07金子将昭  Masaaki Kaneko

www.masaaki-kaneko.com

1982年富山県生。ジャズピアニスト。合同会社前衛無言禅師代表社員。洗足学園音楽大学音楽学部ジャズ科ピアノ専攻卒業。

大学時にギター専攻で入学したが2年次よりピアノ科へ転専攻し19歳よりピアノを始める。

堂本光一、大橋卓弥(スキマスイッチ)、imalu、ジョナサン・カッツ、類家心平、マークトゥリアン、フレッドシモンズとのセッションライブやバンドサポート、ミュージカルなどでピアノを担当。

ミュージシャンによる音楽理論研究会『東京音楽理論研究大学』を主催。

 

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鈴木元(すずきはじめ)

洗足学園音楽大学首席卒業。同大学より優秀演奏者賞受賞。

中学でギター、高校よりベースを始め、高校在学時よりレストランやジャズライブハウスで演奏活動を開始。

在学中は、藤原清登氏、佐藤”ハチ”恭彦氏にコントラバス(ジャズベース)を師事し、レコーディングやツアーなどに参加する。

2011年には台湾で行われたTaipei International Jazz festivalに招待される。
現在、関東を中心に活動している。

 

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