【ラテン音楽講座Vol.5】クラーベの種類と特徴

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Hola! Bienvenidos al mundo de la música latina.(こんにちは!ラテン音楽の世界へようこそ!)

お元気ですか?トロンボーンの島田直道です。

今回はラテン音楽に欠かせないクラーベという存在について解説していきます。

 

■クラーベとは

クラーベ(Clave)はサルサなどで用いられるラテン音楽特有のリズムパターンです。スペイン語で「鍵」を意味し、文字通りラテン音楽を理解する上での重要な鍵となります。クラーベは楽曲の土台となるリズムで、パーカッションやピアノ、ベースのパターンはもちろん、歌のメロディやホーンのフレーズまで全てクラーベの上に成り立っています

 

■ソン・クラーベ

まずは最も基本的なクラーベです。

 01_clave(3-2.2-3)

音が3つの小節(3サイド)と2つの小節(2サイド)がセットでひとつのクラーベになります。ご覧いただいて分かる通り、この二つは3サイドと2サイドを逆にしただけです。左のクラーベを3-2(スリー・トゥー)、右を2-3(トゥー・スリー)と呼びます。このパターンはキューバ音楽のソンから取って「ソン・クラーベ(Son Clave)」とも名付けられていますが、3-2、2-3と呼ぶほうが一般的です。

試しに下の段(1拍目3拍目)をタップしながら上の段のクラーベを叩いてみてください。

3サイドと2サイドの関係は「緊張と解放、不安定と安定、動と静」など様々な言葉で表すことができます。コードでいうドミナントとトニックの関係に似ていると思いませんか?ラテン音楽では、この二小節のリズムパターンが延々と繰り返されるのです。

 

■ルンバ・クラーベ

キューバの伝統的な音楽「ルンバ(Rumba)」ではソン・クラーベではなく、この「ルンバ・クラーベ(Rumba Clave)」を用います。

02_RumbaClave

ソン・クラーベと似ていますが3サイドの3つ目が4拍目の裏にきています。こちらも先ほどと同じようにタップしながら叩いてみてください。どうでしょう、半拍ズレただけでも結構違うと思いませんか?

ルンバだけでなくキューバのサルサ「ティンバ(Timba)」なども、このルンバ・クラーベが土台となります。

 

■6/8クラーベ

クラーベという言葉自体はスペイン語ですが、その起源はアフリカの宗教音楽にあると言われています。クラーベの歴史を遡っていくと以下のような6/8のリズムパターンに辿り着きます。

03_6-8Clave

ここから音を2つ抜くと次のような3-2の形が見えてきます。

04_6-8Son,Rumba

これはそれぞれ6/8ソン・クラーベ、6/8ルンバ・クラーベといいます。先ほどの4/4拍子のものと叩き比べてみてください。6/8クラーベが6/8のソン(ルンバ)クラーベへ、そして4/4へと変化していく流れが見えてくるでしょうか。

 

■クラーベの特徴

 クラーベの面白いところは一度始まったクラーベのパターンは止まることがなく、順番が入れ替わることもないという点です。

つまり2-3で始まった曲であれば2-3-2-3-2-3…というように2と3が必ず交互に来て、2-2というようなことがありません。

 

じゃあ例えば曲を作っていて「Aメロが2-3なんだけどBメロからボーカルのフレーズを3-2の感じにしたい」という時はどうしたらいいのか…。

答えは「小節数を奇数にしてひっくり返す」です。下の図をご覧ください。

クラーベ反転         

上が2-3のまま進行するパターン。下がAメロを奇数にすることでBメロでクラーベを反転させたパターンです。

このような理由からラテン音楽では奇数小節で展開することが少なくありません。

 

それでは最後に、曲を聴きながら実際にクラーベを感じていただきたいと思います。

 

 

Vol.3でもご紹介したこちらの曲を覚えていますか?この曲は3-2から始まりAメロで2-3にひっくり返ります。サビで3-2になり、モントゥーノセクションからはまた2-3という感じです。

実際にクラーベを叩きながら聴いていただくとパーカッションはもちろん、ホーンやコロ(コーラス)まで全ての楽器のパターンがクラーベと上手く噛み合うようにできているのが感じられると思います。最初に3-2で叩き始めたら、最後までそのパターンで止まらず変わらず叩き続けてみてください。

複雑に絡み合う各楽器のパターンがクラーベのリズムの上で繰り返す緊張と解放…それがこの音楽の気持ちいいところでもあります。

 

それではまた次回! Hasta luego ! (またね~☆)


[おまけ独り言]

ラテン音楽にとってクラーベという存在が単なるリズムパターンではなく、もっと深い、音楽の根底にあるものだとするならば、クラーベが決して変わることなく延々と流れ続ける様子はまるで、昨日が今日へ、今日が明日へと続いていくようなものだと感じることがあります。

この宇宙が遥か昔に誕生し、僕たちが生まれる以前から3-2-3-2…とクラーベのようにずーっと時が流れていて、その中で人は何十年かの人生を過ごす。生まれた日が3サイドだとしても、時に2-3な時期があり、3-2に戻る瞬間があったり。そしてその人の人生が終わった後も、クラーベは変わらず3-2-3-2と時を刻み続ける。そう考えると、人の一生はまさにクラーベの上に成り立つ楽曲のようなものですね。

…ちょっと話し膨らませすぎ?


  naomichi_shimada_2014島田直道(しまだなおみち)

1985年生まれ。栃木県出身。高校からトロンボーンを始め、昭和音楽大学短期大学部と専門学校東京ミュージック&メディアアーツ尚美(現:尚美ミュージックカレッジ)で学ぶ。現在はアーティストサポートやスタジオなどで活動する他、トロンボーン講師として都内を中心にレッスンも行っている。

過 去にLA-33(コロンビア)、Yumuri(キューバ)、HERMANOS YAIPEN(ペルー)、Charanga Habanera (キューバ)、Victor Manuelle(プエルトリコ)などラテン・アーティストの来日公演にてオープニングアクトなどを務める。

日本、ペルー、キューバ、メキシコなどから構成される多国籍サルサバンドEL COMBO CREACION(エル・コンボ・クレアシオン)の日本人リーダーとしても活動中。

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