農家のスミタヒロキさんとのサークル対談の最終回は農薬の話。(前回はこちら)オーガニックと農薬はどっちが悪い?。(記事構成/原田和真)
◯農業の話に興味があり過ぎて次は農薬の話です!
住田 植物ってのは食べられないように自分で毒を生産するんですよ。
金子 植物内で?
住田 はい。トリカブトとかは有名ですけどアルカロイド系の物質とかを作るので、改良してそういうのをあんまり作らないような品種だとか、種を取って選抜してとかってのをやってきたのが人間が食べる野菜になってるわけです。
金子 ふ~ん。
住田 野生化させていくと、逆にそういう野生の能力を取り戻してしまうので…
金子 野菜の野生化。
住田 そうです。そういうのから大きくしたり食べれる糖度にしたり。
金子 じゃあ初めは大根とかももっと細かったかもしれないってことですか?
住田 細かったですよ。
金子 もっと美味しくしようって言って掛け合わせ的なことをして良いやつを残していったってことですか
住田 そうです、それをず~っと繰り返していくと今のような形になっていくと。
金子 へぇ~。
住田 で、例えば除草剤の場合で言うとすると。作物の側に雑草が生えていると、作物と競合するわけですよね、どっちが上かみたいな。
金子 はい。
住田 すると力強く育たないと負けちゃう。だから野生の力を取り戻すわけですよ。
金子 ほぉ~。
住田 後は外敵に食われる危険性があるから毒を生産して食われないようにするとか、要するに美味しくなくなっていく方向に向かうわけですよね~。
金子 あ、野菜自体は。
住田 そうです、野生に近くなると。なので甘やかして育てると美味しくなっていくみたいなところがあるので。その為に農薬を上手く使って野菜だけを大事に育てるっていう方向になっていったんですよ。
金子 なるほど普通は野生的になっていくところを農薬を使えば毒を作らなくなると。
住田 太った牛の方が美味しいみたいなもんですよね。野菜も似たようなもんで大事に作っていった方が美味しい。
金子 あ、なるほど。要は農薬を使った方が美味しくなりますよってことですね。
住田 そういう感じですね。
金子 で、農薬が身体に悪いからっていって農薬を使わずに成長させると野菜の野生化でむしろ自分で毒を作るようになると。その自分で作った毒の方が農薬よりも身体に悪いですよってことですか?
住田 いえ、そこはハッキリしてなくて。どっちもなんとも言えないんですよ。
金子 測れたりとかはしないんですか?
住田 ん~食べる人間の側にも個体差があるので、一概に基準を決めれないんですよ。
金子 あ~そっか。
住田 ガイドラインはあっても、みんながそれを守れば全員大丈夫ってわけじゃなくて人によってはダメだったりもするし、化学物質過敏症みたいな人も出てきたし。
金子 なんかそれすごい低くなって例えば0.2までがオーガニックで0.3からが農薬だけどもうどっちも変わらないじゃんみたいなことになりそうですね。
住田 公害が凄い出てた昔の状況と今は変わってきて、そこから学んで農薬の基準がかなり厳しくなったんですよ。
金子 へぇ~。
住田 ADIっていう考え方があって、毒性値が決められてるんですね。それはなんの物質でもあって、砂糖だろうが塩だろうが…。醤油も一気飲みしたら死ぬわけですし。
金子 あ~言いますねそれは。
住田 だから農薬もそりゃ一気飲みしたら死ぬんだけど、ルールを守って使ってる分にはなんの問題もないよっていう。
金子 なんでもそうですよね!なんかカリウムだったかなんか忘れましたけど、それを20ccだか注射したら死んでしまうとかって話ありましたけど、そりゃ過剰に取ればなんでも死ぬよって話ですよね。
住田 そうです。風邪薬だって一気に飲めば死んでしまうんでね。それと同じ話ですよ。
金子 全部が全部身体にいいわけではないと。
住田 薬と毒は表裏一体ですから。
金子 言いますもんね~なるほどな~。要はオーガニックがなんなのかよく分からずに「オーガニックだ~体にいいんだ~」って思っちゃうのも危険ってことですね。
住田 そうです。
金子 自分の物差しを持たないとか、よく自分で考えないとか、メディアにこうって言われたら「そうなんだ~」って思っちゃう。
住田 そこにもう一つ絡んでくるのが、一部の売る人達の思惑で、農産物の価値が下がってしまって差別化を図らなくてはいけない。そこでなんとか農法ってので差別化するってのが方法が出てきたんですよ。
金子 なんとか農法?
住田 そう、自然農法とか。普通の作り方は慣行農法って言って、農薬を使う方法があるんですけど、そうじゃなくてできるだけ人間の手を加えないで野生に近い状態で作る農法が自然農法だったりするわけですよ。
金子 ほう。
住田 それで、こっちの作り方の方が美味しいよとかって言うんですけど実はそんなに変わらなくて。その中にも技術の良し悪しとか上手い下手があって、必ずしもこれやったから美味いってわけでもないと。
金子 ふ~ん。
住田 大体の人がある程度作るとそこそこ良いのが出来るから差別化がしにくいので、「むこうは毒だ、悪だ。あんなもの食べるやつはダメだ。」とイメージを植え付けることで「こっちの方が良いんじゃないか」という人の本能とか恐怖に訴えかけるんです。
金子 作るだけじゃなくてその野菜を売ろうという発想になるからそうなっていくんですね。
住田 音楽で言えば「レゲェは黒人がやるダメな音楽だからクラシックを聴け!」みたいなね。
金子 もうジャズミュージシャンなんか全員麻薬でラリってると思ってるからな~(笑)今時タバコも吸わないっつーの最近の人は。
住田 そういうネガティブマーティングが横行してて、ごく一部でそれで儲けてる人がいるわけですよ。
金子 なるほどね~。
<写真/ちばんば>
【お知らせ】スミタヒロキさんのコラムが15日より始まります!お楽しみに!
〜農業と音楽の固有振動〜 農的ジャムセッション
金子将昭 Masaaki Kaneko http://www.masaaki-kaneko.com/
1982年富山県生。洗足学園音楽大学音楽学部ジャズ科ピアノ専攻卒。
大学にギター科で入学後すぐ、経験無しのピアノ始め、二年次よりジャズピアノ科へ転専攻。サポート仕事と和風なジャズを演奏する自己の音楽活動と並行しながら、日本初の音楽理論Webマガジン「サークル」編集長、(同) 前衛無言禅師 代表、東京音楽理論研究大学主催、劇団を作ろうプロジェクト主催、音楽アプリ「lepot」の開発、、フリーランス向けの確定申告サイト運営など多岐に渡る。現在、百人一首曲付けプロジェクトとジャズスタンダードをトーク・演奏で楽しむ動画をYOUTUBEチャンネルにて公開。「百人一首曲付けプロジェクト」で検索。
日本では長野、海外では香港やカンボジア、ラオスに農業展開中。農業の新しい道を探すべく、様々な方向性を試している。
その一環として、農村シェアリング企画「農村JACK」を展開中。その他にはJIPPプロジェクトなどにも参加。
将来の目標は、宇宙農業。
現在の所属:劇団あーてぃすとら、ラフィクション(お笑いユニット)
カメラ:ちばんば
ブログ:http://ameblo.jp/tatuki1003/
中学時代より演劇部に入り演技の活動を始める。高校卒業後、演劇の養成所に入り演技を一年間学ぶ。
現在はメイク動画をYOUTUBEにてアップしたり、カメラで写真をとったりしながら役者としての活動をしている。
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