その2 農業を始める時の外から見えないところ 【対談】金子将昭 × スミタヒロキ(Project SOLA/農家)

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5回にわたってお送りする今回のサークル対談の二回目は農業の始め方について聞きました。(前回はこちら)農家の息子じゃなかったら大変!?(記事構成/原田和真)

 

◯諦めない金子が住田さんに聞く”農業の始め方”

金子 よく考えたら分からないんですけど、農業ってどういう流れで始めるんですか?

住田 農家って資格がいるんですよ。

金子 え、資格なんですか?

住田 そう、誰も知らないでしょ?免許があるわけじゃないんですけど、非常に曖昧な資格で「自治体の農業委員会に認められること」っていう。

金子 それってなんか、法律的な規制というか制限なんですか?

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住田 そうです。農地法ってのがあって。どうやって委員会に認められるかっていうと、研修を受けるとか実際にやってみるとか色々あるんですけど。まず農地を持っていること。で、その農地を使える実力があると認められれば、許可がでますね。

金子 はい。

住田 農家の息子だったらいいんですけど、俺も最初何もない所から始めて。外から参入しようと思ったら、農地持ってないじゃないですか。

金子 ですね。

住田 まず農地を借りようと思う。「農地を借りるにはどうしたらいいですか?」って聞くと「農家じゃないと借りれません。」って言われるんですよ。

金子 え!?じゃあどうやって農家になるんですか?今、自分が農家になるシミュレーションで聞いてたんですけど、いきなりぶつかりましたね(笑)

住田 そう、そこでもう矛盾が起きてるじゃないですか。最初どういうことか分かんなかったんですけど、なんか研修を受けるとか、農業法人でしばらく働くとかそういう実際に農業やりました、やれますよっていう実績があると、ようやくそこで「農地を自分で探して見つけてくれ」となるわけです。

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金子 ふんふん。

住田 「農地見つけました~。研修ここでやりました。どうですか?」「じゃあOK」って流れですね。

金子 じゃあ研修できるとこ探して一回入門制で入って、学びながら空いてる農地を虎視眈々と探して申請しなきゃいけないわけですね~。

住田 しかも実際に移住するなら畑だけじゃダメで、家も探さないといけないじゃないですか。

金子 あ、そうか。

住田 田舎で空き家を探すってのもこれまたハードルが高いんですよ。だから今の家を探すのに結局6つぐらいの自治体回りましたからね。

金子 へぇ~。あ、こういうのって管理してるのって不動産屋じゃないんですか普通の。

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住田 ここはたまたま不動産屋だったんですけど、田舎であんまり不動産屋絡んでなくて個人相対みたいなのが普通ですね。

金子 それって入り口どうやって入って…(笑)

住田 無いじゃないですか。だから人脈を作るしかないんですよね。俺の場合は農業委員会ってのが各地にあって、その農業委員さんを紹介してもらって、探して探してようやく見つかった感じです。

金子 人伝てじゃないと繋がらないような仕組みになってるところが良い風に作用する反面、参入障壁ですよね、完全に。

住田 そう。村社会に入り込まないと農業できないっていう。

金子 それ伸びない原因になってますよね。

住田 そうです。

金子 それもなんかわかんないですけど、ウェブとかでポチっとGoogleカレンダーでスケジュール押さえるとかみたいにできるんだったらいいですけどそうじゃないですもんね。

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住田 ようやくそれが今年から運用され始めるようになってきて、農地中間管理機構っていう新しい県の組織ができて。

金子 へぇ~。それって行政がやっちゃってるんですか?

住田 それが今年から国で決まって、県単位で実施されてるんです。

金子 それ民間もやっちゃった方がいいと思うんですけどね。

住田 やる気のある人達は、参入障壁をなくして「自由化しろ自由化しろ」って言うんですけど、それをするとこれまでの農家さんが一気に淘汰されちゃうから…。

金子 まぁでも自由化したところで、全体の2割の専業農家の人達は大丈夫ですよね?生産の8割を占める実力のある人達ですから。

住田 そうですね。

金子 でも結局、兼業で補助金もらってぐうたらしてる人達は自由化されると戦えないから反対する方ですよね。一番困るっていう(笑)

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住田 そうそうそう(笑)

金子 「補助金でないと困るから~」みたいな。

住田 本当にそんな農家ばっかりだから~嫌だよね。俺も農業やろうと思って役場にいったら「あ、でしたらこういう補助金がありましてね」って補助金の話から来るんですよ。

金子 補助金か~。ありがたい反面、頼らずやりきりたいってところありますよね。

住田 あ~あれに頼ってたらダメです。淘汰される。

金子 正直自分達でやりきりたいですよね~。

住田 でも俺初期投資資金が無かったんで、借りたんですよ、借りたというか最初補助金もらったんですけど~年間150万もらえる制度があって。

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金子 あ、そんなのあるんですか?

住田 どんどんウェルカムになってるんで。

金子 なんでウェルカムになってるんですか?

住田 高齢化してて次の世代がいないから。

金子 あ~そうか~。ってことかそれは何十歳以下とかですか?

住田 そうですね~。ある程度幅があって45以下だっけな。

金子 あ~なるほど。

住田 その年間150万もらうにもいきなり100ページ以上の要項が出てきたりとか、半年に一回書類を出すとか。このクソ忙しい時に勘弁してくれよみたいな、面倒くさい書類提出が結構あるんで早いとこ止めれるぐらいになりたいな~って。

金子 仕組み面倒くさいですよね!何をするにも。もっと良い仕組みはないのかみたいな。すげぇ思いますよね。

  <写真/ちばんば> 

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【お知らせ】
スミタヒロキさんのコラムが15日より始まります!お楽しみに!

〜農業と音楽の固有振動〜 農的ジャムセッション

 


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金子将昭  Masaaki Kaneko http://www.masaaki-kaneko.com/

1982年富山県生。洗足学園音楽大学音楽学部ジャズ科ピアノ専攻卒。

大学にギター科で入学後すぐ、経験無しのピアノ始め、二年次よりジャズピアノ科へ転専攻。サポート仕事と和風なジャズを演奏する自己の音楽活動と並行しながら、日本初の音楽理論Webマガジン「サークル」編集長、(同) 前衛無言禅師 代表、東京音楽理論研究大学主催、劇団を作ろうプロジェクト主催、音楽アプリ「lepot」の開発、、フリーランス向けの確定申告サイト運営など多岐に渡る。現在、百人一首曲付けプロジェクトとジャズスタンダードをトーク・演奏で楽しむ動画をYOUTUBEチャンネルにて公開。百人一首曲付けプロジェクトで検索。

 

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スミタヒロキ Hiroki Sumita 
Project SOLA「モットーは世界の全ての人に、おいしい食事と幸福な食卓を」
1979年愛知県生まれの次世代農家。IT系サラリーマン後に脱サラしてGlobal Farmerの道へ。
日本では長野、海外では香港やカンボジア、ラオスに農業展開中。農業の新しい道を探すべく、様々な方向性を試している。
その一環として、農村シェアリング企画「農村JACK」を展開中。その他にはJIPPプロジェクトなどにも参加。
将来の目標は、宇宙農業。
 
 
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対談構成: 原田和真(はらだかずま)
脚本家。1988年生まれ。北海道出身。大学から山形へ移住、お笑いや演劇の活動を始める。漫才、コント、演劇、アクション、音楽とのコラボ、ラジオドラマなど様々に挑戦し、手段を問わず”エンターテイメント”を追求する。2014年4月に活動を東京へ移す。
 
現在の欲望:映画の脚本をやりたい。マジシャンの仲間が欲しい事。
現在の所属:劇団あーてぃすとら、ラフィクション(お笑いユニット)
 
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カメラ:ちばんば 

ブログ:http://ameblo.jp/tatuki1003/

中学時代より演劇部に入り演技の活動を始める。高校卒業後、演劇の養成所に入り演技を一年間学ぶ。

現在はメイク動画をYOUTUBEにてアップしたり、カメラで写真をとったりしながら役者としての活動をしている。

 

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