5回にわたってお送りする今回の対談も最終回。ゲストは音楽家派遣会社の株式会社エルパ代表取締役 島貫歩美 様。前回は「演奏家はなんとなくやれちゃってる?」についての話でした。最終回は「音楽家も色んなところに進出?」というお話。(記事構成/原田和真)
⑤ ~音楽家も色んなところに進出?~
金子 なんか自分で音楽が出来る場所とか、世の中の人の為になるサービスとかどんどん作り出していけばいいなぁとかって思ってて。それでプレイヤーって言葉で自分の動きを縛るのを止めようって思って。そしたらもっと発想自由に持てるな~って思ったんですよね。
島貫 う~ん。
金子 で、知り合いの教育関係の雑誌の副編集やってる方が僕のやってるウェブマガジン(このCIRCLEの事)見て、「なんだこの前代未聞な内容は」って(笑)
島貫 いや~だって凄いと思います本当に。
金子 「よくあるよね~この感じ」って言われなくて良かったな~って思って。「どこでもやってるよね~」って感じになっちゃったらどんな良いもの作っても意味無いんで、変わったもの作らないとダメだと思ってるんです。
島貫 うんうん。
金子 割と褒め言葉的に言っていただけたんですよ。そりゃ細かい事言ったら、荒削りなんで色々あるとは思うんですけど。アイディアとしていいなと言っていただけたんで凄い嬉しいな~って。
島貫 う~ん。
金子 もっと僕は本当はミュージシャンの人達に伝えれたらいいな~と思うんですけどね。なんかこういう事やろうとしたら「いや、それは演奏じゃないからちょっと」みたいな感じよりは、もっとそういう人達が色んな分野に進出した方が…じゃないと人材のロス的な気がするんですよ。
島貫 ほぉ~。
金子 演奏みんな出来るのは分かってるけど力持て余してんじゃんみたいな。それぞれ結構よくよく突つくと実は鳥の事に詳しかったりとかするわけじゃないですか。
島貫 うんうん。
金子 プレイヤーだけど、なんか凄い映画ヲタクだったりとか、なんかカメラのレンズのことだけ詳しいとか。
島貫 そんなことあるんですか!?笑
金子 分かんないですけど(笑)でも先輩ミュージシャンで真空管アンプの真空管部分?が凄い好きだって人がいて。
島貫 へぇ~。
金子 仕事の合間に曲の話とかしてたら、急に「真空管アンプのここヤフオクで落としたから」とかって持ってくるんですよ。なんかデットストックみたいで出ないんですって。それで、みんなに見せながら「こういうの凄く良いんだよね~」って。(笑)
島貫 へぇ~(笑)
金子 なんかそういう研究熱心なところってすごい好きだなぁって。それで仕事作れるんじゃないかって…(笑)
島貫 あ~。
金子 あと後輩にエフェクター作れる人いるんですよ。あの有名な某メーカーのエフェクター、あれ1万円ぐらいするんですけど原価は1000円ぐらいらしいんですよ。そしたらその人が「あれ作れますよ」と。
島貫 ええ~!
金子 なんか工学系のところ出た人なんで、技術的にはそんな凄いことやってるわけではないんですって。
島貫 はい。
金子 そんな話し聞いちゃったから「マジで!やろうよ!!」って(笑)
島貫 火がついちゃった(笑)
金子 それなんか名前忘れましたけど電圧を制御するボルトみたいなのがあるんですよ。それを数百円でちょっと良いのに切り替えるとめちゃくちゃ音良くなるんですって。
島貫 へぇ~。
金子 その人、「僕はそのエフェクター使ってますけどね、自分で作って」って。…それ売ろ!!と(笑)
島貫 (笑)
金子 それ売ったらお前すげぇじゃん!って。で、僕それすげぇ押したんですよ。そしたら「いやちょっとそれは…」って言うんですよ。そいつ今アパレルでバイトしてるんですけど。
島貫 え?なんでやらないんですか?
金子 そこ謎なんですよ!なんでやらないんだろうと思って。
島貫 興味関心がその物自体にあって、それを売っていこうとか事業化しようという意識がない…?
金子 というか多分さっきの演奏とかプレイヤーにこだわってるんだと思います。
島貫 あ~そういうことか~…。
金子 演奏を仕事にしたい。で、食えないからバイトをしている。バイトの自分は受け入れていて、エフェクターとかを売るのは受け入れないっていう。
島貫 あ~う~ん。
金子 自分の技術を活かしたエフェクターを作って売るということはダメなんですよ。でも誰でもできることじゃないし、寧ろ、バイトするよりいいと思うんですけど(笑)
島貫 そうですよね~。一貫性もありますよね、そっちの方が
金子 ですよね。”ベーシストが作ったエフェクター”。欲しくなりません!?
島貫 なりますよね~全然ブレてないし。
金子 ブレてないですよね!でも「いやちょっと」って言うんですよ~。なんか…それで結局動いてないです…。
島貫 へぇ~。
金子 「俺はプレイヤーだから」って言うんだったら、もっともっと演奏することにコミットしていけばいいじゃないですか。レッスンもしない、演奏のみでもうあっちこっち「弾かせてください!!」って頭下げてやるぐらいの勢いでやればいいじゃないですか。だけどレッスンをする自分を受け入れてたりするんですよ。でもエフェクターや独立はだめ。
島貫 うんうん。
金子 このなんか変なプライドの妥協の仕方が、全然一貫性無いんですけど受け入れられてるんですよ。
島貫 う~ん、なるほどね~。
金子 そういう変なプライドとかの妥協とかを、そこちょっと島貫さんの超パワーで壊してあげて…
島貫 私!?笑
金子 壊してあげて、そういう人材でもっと色んなことできると思うんで(笑)
島貫 そうですね~(笑)
<写真/橋本浩史>
金子将昭 Masaaki Kaneko http://www.masaaki-kaneko.com/
1982年富山県生。洗足学園音楽大学音楽学部ジャズ科ピアノ専攻卒。
大学にギター科で入学後すぐ、経験無しのピアノ始め、二年次よりジャズピアノ科へ転専攻。サポート仕事と和風なジャズを演奏する自己の音楽活動と並行しながら、日本初の音楽理論Webマガジン「サークル」編集長、(同) 前衛無言禅師 代表、東京音楽理論研究大学主催、劇団を作ろうプロジェクト主催、音楽アプリ「lepot」の開発、、フリーランス向けの確定申告サイト運営など多岐に渡る。現在、百人一首曲付けプロジェクトとジャズスタンダードをトーク・演奏で楽しむ動画をYOUTUBEチャンネルにて公開。「百人一首曲付けプロジェクト」で検索。
埼玉県出身、4人姉妹の末っ子。幼少期は内気で人見知りが激しく、自己主張のできない子どもだった。2003年4月、株式会社キャブステーションに入社。仕事の面白さを知り、のめり込む。2008年1月より子会社である音楽家派遣サービスを行う㈱エルパの代表に就任。2009年7月、MBOによりキャブステーショングループより独立。楽家の活躍の場を広げること、またもっと身近に音楽が入り込む豊かな社会を目指して日々活動中。
現在の所属:劇団あーてぃすとら、ラフィクション(お笑いユニット)
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