ライブハウスが地下にあったりすると中の様子はわからない。
初めてだと入るのにためらってしまうことがある。
Apple Jumpに初めて来た時、少しためらった記憶がある。
丸い窓から中が少し覗けるけど、その時は何を見たのだろう。
この重い扉を開けると左に高いテーブル右に低いテーブルがいくつか並んでいる。
さらに右がステージ。
今日は、ピアノとベースとドラムが置いてある。
浅川太平(Pf)安ヵ川大樹(B)則武諒(Ds)
浅川太平トリオの3’rdアルバムを聴いたのは去年の12月だった。
何回かレコ発ライブがあったのに聴き逃した。
ようやく今日聴くことが出来る。
1曲目。リフト(浅川太平:新曲)。浮上を意味する。
ピアノのイントロから始まり、物悲しいメロディ。
そして情感たっぷりにピアノソロ、合わせるシンバルの音、あったかいベースソロへと続く。
2曲目。ロストインザフォレスト(浅川太平:新曲)。言葉の森に迷い込むという意味。
自身の別の活動でもあるクワエトロニカでは、ボーカル曲。
ドラムソロから始まる。ここでもシンバルが多用される。
暗い曲調。音数の多いベースソロからそのまま激しさが引き継がれたかのようなピアノソロ。
3曲目。夏に録音されたという3’rdアルバム「Touch of Winter」からラストフラワー(浅川太平)。
静かに音を積み重ねていくような美しい曲。ピアノのソロは、花が開く様だ。
ぬくもりのあるベースが続く。
4曲目。ジャーニー(浅川太平:新曲)5 or 10拍子の曲。
短いピアノイントロから始まる。繰り返されるピアノのフレーズに気持ち良さそうなベースのソロ。
ピアノソロでも繰り返される左手のフレーズに右手が縦横に鍵盤の上を移動していく。
表情豊かにドラムソロが続く。
5曲目。ソロピアノ。ポートレイトオブホワイト(浅川太平)。
どこか物憂げな感じのする曲。
左手が繰り返すひとつの音に右手が輪郭を描いているような演奏。
6曲目。ファースト最後の曲は、バロック(浅川太平)。左手の難易度が高いという説明。
おもしろい曲。テクニカルなピアノソロが曲調に合っている。
ドラムが盛り上げてかっこい終わり方をした。
今日は、ラジオの収録が行われていた。
放送は、衛生デジタルラジオ MUSIC BIRD 11月30日(日)21:00〜とのこと。
7曲目。セカンド最初の曲は、みみをすます(浅川太平:3’rdアルバルから)
ピアノイントロからアルコ(弓弾き)のメロディ。ベースのソロもアルコ。素敵な音色だ。
8曲目。イントゥーザサンド(浅川太平)
ピアノイントロからゆったりしたテンポの広がりのある曲。
ベースのスケールの大きな演奏。きらびやかなピアノソロ。
ここでもシンバル中心にドラムが二人の演奏に呼応している。
9曲目。オルガンコラール639番(バッハ)。
ピアノの伴奏にアルコのメロディ。クラシックの世界。
ダイナミックなアルコソロ。
ヨーロッパの旧市街を歩いているような気分になってくる。
10曲目。モンクに影響されたという曲、モンク(浅川太平)
いきなり確かなテクニックのモンクが飛び出す。
モンクとはひとつのジャンルなのか。
ドラムがあばれだす。
11曲目。ホーム(浅川太平:3’rdアルバムから)
震災の翌日、呆然としながら書いたという曲。
どっしりとしたベースのテーマ。そのまま骨太で迫力のあるブルージーなベースソロ。
激しいドラムと共に勢いのあるピアノソロへと続いてく。
12曲目。ナイトフェアリー(浅川太平:新曲)。悲しいバラード。
メロディックなベースソロに胸が熱くなる。
ピアノがため息のように聞こえる。
アンコールの13曲目。ビューティフルドリーマー(フォスター)
とても複雑な印象の演奏の中から有名なメロディが水面に揺らぐように立ち上がってくる。
ジャズライブを聴く場所は、様々なところがあるけれど、Apple Jumpは、
聴くことがまさにメインの店という感じがする。
演奏の後はすぐ片付けが始まり、私はなんだか一杯足りない感じになるのだった。
そんなことはどうでもいい。浅川太平トリオをようやく聴くことが出来た。
クラシカルな全体の印象。暖かみのあるベース、シンバルを自在に操るドラム、スケッチを見ているようなピアノ。ただのピアノトリオではない、浅川太平のピアノトリオだ。
jazz santa.
プロフィール:
若いミュージシャンの演奏を聴きにライブハウスに時たま出没しております。
せっかく聴いた素晴らしい演奏の数々。
そのままじゃもったいないから、レポートを書きたくなったのです。
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