【コラム】赤須翔のニューヨーク滞在記 其ノ八

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ニューヨーク滞在記パート8いきなり始めます。

 

 ジム・ホールメモリアルブルーノートNYも終わって2日経ち、智さんのライブに来ている。とあるレストランでのラフな演奏だ。

  少し話は戻るけど、先日のブルーノートのライブには日本のジャズギタリストの若手スターも来ていた。その時に楽屋で智さんに「明後日のライブにギター持って遊びに来るよう彼を誘ったんや」とだけ言われ、僕は「そうなんですか」としか答えなかった。

 勝手な僕の解釈では、その後に「けどお前はどうする?」という言葉が隠されていたので、智さんからの挑戦状的なものを感じた。多分そんなつもりなかったと思うけど、それなら俺も持って行かないわけにはいかないと思い、今日のこのライブにギターを持って遊びに来た。

 結局僕は一番最後の曲、It Could Happen To Youで参加させてもらえた。ライブ後の打ち上げも参加したが、智さんを慕うニューヨークに住む日本人のミュージシャンがたくさん来ていた。

 

 そして智さんのプリペイド携帯電話を貰えることになった。智さんが日本へ帰宅する日の朝6時に滞在先に取りに行くことになったのだが……。

 

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 当日。。僕は寝坊した。。起きたら5時30分。ルームメイトを起こしてしまうであろう勢いで家を飛び出した。焦って電車の乗換を間違え、完全に間に合わない事が分かり智さんに電話。既に空港に向かっていた智さんに「馬鹿者」と言われ、空港で落ち合うことにした。

 

 空港に僕が着く頃には、智さんは既にチェックインを済ませてあった。笑って迎えてくれた智さんと空港のカフェで朝食をとる。そこで出発の時間が来るまで21年間ニューヨークで生きていくために智さんがやってきたことや、その経験談、ブルーノートでの舞台裏の話、選曲の話、僕のこれからのニューヨークの話などをした。

 智さんは器用な人ではないと思う。だからこそ、前回書いた選曲の事しかり、上に書いたライブの事しかり、行動で示す愛を感じる。僕がお手伝いでドライバーをする時でも、奥さんが聴きに来て一緒に帰るときは、特に何も言わず智さんが運転して帰る。

 

 作曲に関しても、智さんが誰かや何かに向けて作った曲はその人の性格や情景が浮かんでくる。きっとこういう所がグッと来るんだろう。Arnie Lawrenceという曲はこの人の陽気さやユーモアや哀愁が伝わってくるし、Going Home Whistleという曲は本当に家路の夕焼けが見える。智さんのライブで何か感じた曲があると、それが本当に智さん曲であることもしばしばあった。

 

 そんな智さんを、送り出す時のやりとり。

僕「ニューヨークでそんなに会ってたわけじゃないし、日本で会えるけど、いざ送り出すとなるとなんか寂しいっすねー!!」

智「こんな所おれるかー!!それじゃあがんばって!」

 

 僕は寝坊して良かったと思った。

 

最後に使うやつ

 

 

 〜井上智編・完〜

 


 

 

akasusyo

赤須翔

http://shoakasu.com/

1987928日長野県駒ヶ根市生。洗足学園音楽大学でギターを有田純弘先生に師事。卒業後、2011年夏にフィドラーの少路健介と完全実費飛び込みフランスツアー敢行。 

2012年秋には、日本舞踊団 かぐや(現在 那由多)とギリシャのレフカダ島にて毎年行われるフォルクローレフェスティバルに出場。そして完全自主制作のCD制作。全国手売り中。

現在はレストランやバーにてライブ活動中。主に小田急線成城学園前駅近くのF.gohanというレストランにて、絶賛ライブ中。ニューオリンズ旅行をきっかけにバンジョーも始めました。 

 

 

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