第1回 和声の存在を再確認する「音楽のクオリア~不定調性論の挑戦~」

20140415

本連載の予定

第0回 序論(上)(下)

第1回 和声の存在を再確認する

第2回 自然倍音の数理の不思議
第3回 下方倍音列の活用
第4回 数理親和音モデル
第5回 和声単位という和声構築法
第6回 和声の分子構造
第7回 増四度環と裏領域
第8回 調という幽霊を発生させる和声の反応領域
第9回 和声二元論が成り立たない理由
第10回 長調と短調の二極化から旋調性へ
第11回 負の音を作ってみよう
最終回 まとめ~ドミナントモーションから動和音へ

(※進捗によっては、若干のテーマ変更の可能性もございます。ご了承下さい。)

 

皆さん、こんにちは。早速スタートしていきましょう。 最初に考えるのは「和声ってそもそもなんで存在しているんだろう?」です。 これを不定調性論的に紐解いてみます。

和声とは、 「音楽で,和音を継続的に連ねたもの。また,その連ね方。」 〜大辞林より〜 です。

平均律 a (ラの音)の振動数=440Hz として以下話を進めます。 ※Hz=(読み方)ヘルツ、音現象が 1 秒間に空気を振動させる回数を数値化し、音の高さを示します。

「平均律」とは、ピアノ、ギター等のほとんどあらゆるポピュラー音楽楽器のチューニン グに現在採用されている音律の種類の名称です。
平均律は 12 音種しかありません。次の 12 種類です。

ド、ド#、レ、レ#、ミ、ファ、ファ#、ソ、ソ#、ラ、ラ#、シ ※ド#=レ♭、レ#=ミ♭、ファ#=ソ♭、ソ#=ラ♭、ラ#=シ♭とも表記します。

ピアノを例にすれば、a 音の半音高い a#音(ラ#の音)の振動数は 466Hz となります。つま り 441Hz の音も、442Hz の音も、はたまた 451Hz の音も、440Hz で調律されたピアノで弾 こうと思えば全部同じ上記の a 音で代替利用するしかありません。
※計算上は 427Hz≦a≦452Hz(端数切り捨て)という式が算出できます。

無限の音程が存在する自然界からみれば、それらを 12 種類だけに収めるのはなんとも不 便のようにも思います。
逆を言えば、自然界の持つ音程の豊かさを、12 音種だけで表現する表現形態が、平均律 音楽の表現手法ということにもなります。

譜例2

譜例2

 

ここに二つの e 音が並んでいます(譜例2参照)。この二つの e 音を異なる e 音にするため

に不定調性論は、e 音を持つ和音を適宜該当して解説します(譜例3参照)。

 

譜例3

譜例3
e を持っていればどんな和音でも構いません(和音の作り方についてはこの連載で別途解

説します)。これは C△→A△という流れとなっています。

これを、次のように考えてみてください。「トップノートの e 音が、異なる音色を背景に して“和声の旋律”を作っている。」と。

 

 

いかがでしょう。
ここでは最初の e 音は C△という響きを背後に背負い、次の e 音は A△という響きを背 負っています。これらが e 音を中心にして二つの響きが連鎖した、と考えると、この二つ の e 音の違いが表現できていることになります。

不定調性論ではこのように和音を「膨らんだ単音=和声単位」と考えます。 そもそも通常の楽音の音色は、無数の自然倍音を含み持った「膨らんだ単音」です。 そ れを楽譜では一音で表現してきたのが記譜法の利便性でした。

 

これは正確な例えではありませんが、バイオリンのドの音と、トランペットのドと音は、 同じ高さのドの音であっても響きや表情が違いますよね。これは各楽器の音色に含まれた 倍音の種類と量が違うからです。でも倍音を譜面に表すことはできないので、楽譜に表す 時は、どちらも同じ位置に同じドが表記されます。

 

 

この楽譜の利便性を一歩戻って、発生した倍音を楽譜に表記する、という発想をしてみる と、それが和音の表記法になる、と考え、これを発展させ「不定調性論の和声の反応領 域」というコンセプトにつなげていきます。

 

 

譜例4

譜例4
譜例4はギターで使われるヴォイシングを用いたジャズ的進行です。e 音をトップノート に固定して作られています。この手法をさらに発展させてみます。

 

譜例5

譜例5
譜例5の下段の和声進行もトップを e 音にして作成しました(コード表記は後付けです)。 上段の旋律はこの和声進行を受けて後から付けました。
譜例4,5だけでも e 音をトップノートにした、15 種の e 音が存在する、と捉えてみて ください。

こうしたコード進行概念に囚われない和音の流れを作るには、和音がつながった時に感じ る皆さんの「音楽のクオリア」のコントロールがとても大切です。

オートマチックにコード進行概念を用いてささっと曲を作る方法と一緒に、次にどう進む かじっくり考える、不定調性論的方法論も一緒に活用頂くことで、現代ポピュラー音楽は一層面白く深く体感できるのではないかと思い、このような提案をさせて頂いております。

 

今日の結論です。

不定調性論における和声とは、平均律 12 音種を、12 音以上の音色を作るために、組み合 わせ連鎖して表現する存在と位置づける。この考え方をコード進行、リハーモナイズ、 ヴォイシングの発想の基盤とし、音楽性の枠を超えて作曲に活用する。

今回は以上です。 ありがとうございました。

ご質問、ご感想等はこちらまで。

 

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 terauchikatsuhisa

寺内克久  Katsuhisa Terauchi
 
大学卒業後専門学校にてジャズ理論を学びながら作曲/演奏活動、作曲家としてデビュー後大手音楽専門校へ就職。その後music school M-Bank発足と同時に、経営/運営スタッフとして、またギター・ウクレレ・ベース・作曲・DTMの講師として活動。
最先端のポピュラー/ジャズ和声学を目指し『不定調性論』を提唱し、レッスンでの活用、各方面での研究発表を行いながら、実践的で個性を活かす音楽レッスンカリキュラムのコンサルタントとしても活躍中。日本音楽理論研究会幹事。日本リズム協会会員。毎週250kmを乗る、ロードバイカー。M-Bankの通信講座ブログ , 不定調性教材のお申し込みはこちらから 
 

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