音楽理論インタビューVol.1『ジャズベーシスト川本悠自』

 —アーティストビレッジに行かなくなった後はひたすら自分で勉強ですか?

しばらくは音楽理論からは離れてました。2年間勉強したおかげで音楽理論の基礎が自分にできて知った気持ちになったんですね(笑)それ後だんだん作曲もうまくなりたいって思うようになって、今度は自分で勉強を始めましたね。」

 

—その勉強はどのような事をされたんですか?—

もう曲のコピーですね。僕はウェインショーターやデュークエリントン、ジャズスタンダードの和声をコピーして分析したりしてましたね。いっぱいコピーしていると他の曲でも共通する進行などがあってそういう物がどんどん自分に蓄積されていく事で音楽理論が自分の中で組み上がっていきますね。

 

—分析していくと自分が知らないハーモニーや進行が出てくると思うんですが、その時はどのように解釈するんですか?

 その時は自分なりに考えてその和声のつながりやハーモニーをこのようなものだって解釈づけますね。」

 

—それにはやはり基礎には音楽理論が必要だと思いますか?

 そうですね。必要かなと思いますね。

 

—そういった解釈が自分の音楽理論を作っていくと思うんですが、川本さんはベーシストですので音楽理論の考え方が他の楽器と違う点はあると思いますか?

 僕はベーシストなのでやはりベース、根音は非常に重要視しますね。後はメロディやトップノートの動き。この2つを重要だと捉えてますね。」

 

—例えばディミニッシュコードやオーギュメントコードの捉え方なんかはどうですか?等間隔な和音なので人によっては「どの音がルートでも同じ」って人もいるようですが・・。

 う〜ん、やはり僕はCdimならルートはCと考えるかな。和音が等間隔だからといってもルートを代えると音の響きが少なからず変化はするから。

自分で作曲した曲でもCdimとコード書いた場所にはCが根音であってほしいからそう書いてますね。オーギュメントも同じ考えですね。ピアニストの人にはどれでも一緒って人は多いですよね。」

 

—私も『ルートは大切に派』なんですが、変な例えになるんですが『Cdimのルートはどれを変えても同じ』っていうのは景色で言えば『フランスの夕暮れと日本の夕暮れが同じ』って行ってる様に感じてしまうんですね。私は『フランスと日本は夕暮れは夕暮れでも二つは違うと思う派』なんですが(笑)— 

 あーなるほど。なんかわかります、その例え(笑)

 

—ありがとうございます(笑)気を取り直して・・、アドリブなんかでも音楽理論は使われると思うんですが、演奏中は何か考えてますか?—

まったく考えてないね(笑)ただ、きっかけにはしていると思う。A7のコードだからサブスティテュードコードのEbの音から初めてみようかなとかは考えます。

でもここでドリアンスケールだな!とか、次はオルタードスケールだ!とかそこまで考えてないですね。

 

—もし自分の音楽理論の範疇にない和声進行とかが出てきたらアドリブやベースラインを弾けますか?

アドリブは弾けると思う。ただ成功するかはしらないよ(笑)ベースラインはちょっと無理かな。自分で分析できない進行だと。

どこに向かっていってるかがわからないとコードトーンの間を埋める音が選択できないから変になっちゃうと思う。アドリブは失敗しても誰にも迷惑かけないからね。自分が悪いだけ(笑)ベースラインはバッキングだから勘で弾くと人に迷惑かかっちゃうよね。

 

—アドリブは弾けるというと耳でやはり感じて弾くということですか?

僕は絶対音感なので和音がなればその音に対して自分でアプローチする事はできます。ただその音が実際どこに向かっているかは初めて耳にする進行だとやはり分析したりしたほうが弾きやすいですね。

 

—知らない進行や和音が出てきたときには音楽理論で分析してからの方がベースラインは作りやすいということですかね。

そうですね。例えばCm7がでてきているかといってベースにコードトーンの7thの音を弾くとやっぱり変なときが多いですよね。FM7の時にいきなり1拍目でM7の音を弾くとみんなにやっぱりびっくりされるし(笑)」

 

—最後になりましたが、川本さんにとって音楽理論はどのようなものですか?

僕にとって音楽理論はツールかな。演奏するときの一つのツール、とっかかりというか。FM7の時にM7の音を弾くとびっくりする音になる。

でもそんなびっくりする音やCm7の時のm7の音をベースしてしまうやり方を計算して演奏に落とし込めるとっかかりやツールが音楽理論です。

 


 

 

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