ROOT NOTE of JAZZ 〜ジャズの歴史をたどる旅
川本悠自のROOT NOTE of JAZZ JAZZの歴史をたどる旅 vol.2
Overture
編集の鬼の金子が不気味だ。
何せ前回の連載執筆から三ヶ月も経っているのに、何も言って来ない。
・・・むしろフレンドリーだ。怖い。怖すぎる。
そうだった。前回もそうだった。ヤツは笑顔と無言でプレッシャーをかけてくる
のだ。
しかし、手の内がわかったところで、気の弱い僕は立ち向かうべくもない。
またもやない知恵を絞りに絞って一滴。
JAZZの歴史の最大といってよいほどの貢献者。
しかし決して表舞台に出てくる事のないであろう人物。
どうだ、これなら鬼の金子も※納得するか？
※編集注・・・しておりません。次回からは締め切り厳しいですよ（￣ー￣）
【ROOT NOTE of JAZZ vol.2 Joseph Schillinger (1 September 1895 – 23
March 1943) -1- 】
ジャズにはコードというものが当たり前の様に存在していて、コイツが読み書きできないと複雑な演奏は出来ないと言って良いでしょう。ジャズだけでなく、ポップスの世界でも当たり前にみられて現代の音楽の根幹ですらあるような顔をしている。
ところが、すぐ隣のクラシックの譜面を覗いてみると、当たり前にあったコード が一切見当たらない。あれだけ大きな顔をした存在感のあるやつが、一切気配がない。
これは一体どういうことだ？？
少しでもコードネームをかじったことのある人は想像がつくと思うが、いわゆる
コードに関する理論は見事の一言に尽きる。隅から隅まで整合性の取れた音の配
置の理論は生半可なことじゃあ構築できないと思う。これは自然発生したもので
はない。
ジャズとクラシックの大きな境界線。クラシックを越え、ジャズが大きく発展し
た原動力となったコードネームの発明。
ここにひとつ、”ROOT NOTE of JAZZ”を見つけた。
今回はロシア人作曲家”Joseph Schillinger”にまつわるお話。
＊ ＊ ＊
Joseph Schillinger。1895年ウクライナのハルキウ生まれの作曲家。
彼の大きな実績は、数学理論的な側面の強い独自の理論を構築して、数多くのアメリカ人作曲家にそれを伝授したということに尽きる。
彼の弟子にはジョージ・ガーシュウィン、グレン・ミラー、ベニー・グットマン、バート・バカラック、 トミー・ドーシーなどジャズの歴史にきらめく名音楽家たちがズラリ。
また彼の 弟子の中にローレンス・バーグという人物がいる。バーグ氏はシリンガーの死後 にシリンガー理論を軸とした教育体系を構築してボストンにそれを教える学校を作った。
バークリー音楽院である。
つまり、バークリーで教えられているバークリー・メソッドの元はシリンガーに
よって作られたものなのである。
バークリーメソッドといえば、言うまでもなく現代ジャズの理論的基礎の一大流
派。ジャズのみならずこの影響をうけていないポピュラー音楽はほとんど存在し
ないと言っていいほど全世界を席巻している。
ロシア生まれの作曲家が、どういう時代を生き、どういう経緯でジャズの源を
作っていったのか。
話の核心は、次回より。
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川本悠自 Kawamoto Yuji
1978年千葉生。高校よりエレキベースを始め、立命館大学ジャズ研でウッドベースを始める。
1999年京都大学Dark Blue New Sounds Orchestraに所属し山野楽器ビックバンドジャズコンテストで優秀賞受賞。
2001年頃より都内近郊のジャズクラブ等で活動を始める。2007年アカペラカルテット「XUXU」と共作アルバム「アカペラ協奏曲第1番作品23」を発表。これまでにサックス奏者山口真文氏、ドラム奏者ジョージ大塚氏、ピアニスト辛島文雄氏などのバンドに参加。その他俳優の渡辺えり氏、三宅裕司氏のライブサポートやコンテンポラリー ダンサー山田うん氏とのコラボレーションなど活動は多岐にわたる。
現在は自らのグループで自己の音楽を追求するかたわら銀座七丁目にあるアートスペース 「スペースにはたづみ」の運営に携わり新しい芸術の発信方法を模索している。
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